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『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』第 10 話「暗殺者(ヒットマン)チーム」

「原作通り」という言葉ほど曖昧なものはないと考えている。同じ「原作」を読んでいても、リズム、テンポ、読んだ上で何を想起するかは人によりまちまちだからだ。だからこそアニオリというものはどうあっても賛否両論に成り得る。というような事は置いておいて、今回の采配は素晴らし過ぎて唸ってしまった。概ね「原作通り」なのだ。ストーリーラインは変えず、ただ暗殺チームという敵の過去にスポットライトを当てただけ。しかし、するとどうだろう。そのたった一手が暗殺チームを主人公たちの「反存在」に仕立て上げてしまった。屈辱と恥辱から這い上がり、黄金の夢を見るブチャラティたちと鏡写しのような存在に。もちろん原作でもそのように描かれている。だが今回のアニメ化に際して、トリッシュを中心とした「チーム戦」の構造がより色濃くなったように思えるのだ。そしてその色の濃さは、そのまま彼らの敵としての格の高さに直結する。『ジョジョ』は敵の存在が初期に明らかになる事は無い。基本的に順番に出て来るし、仮に先んじて登場しても黒塗りにされる。しかしその制約を取っ払うだけでこうも印象が違うものなのかと、アニメスタッフ陣の妙手には驚かされた。

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