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『パシフィック・リム』

「モリサン、スコシオサエテ。……モリサン? モ、モリサン! モリサ、オサエテ! モリサンヲオサエテッッッ!!」

やぁ、面白かった! まさにド迫力! 3D で観れば良かった! と、簡潔に感想を述べられる良い映画だった訳だけど、好みの観点で言うなら終盤の海底戦がいまいち盛り上がりに欠けていたと思う。というより、中盤の市街戦に勝てていなかった、というのが正しいか。中盤のハイ・ヴォルテージっぷりを支えているのは、何と言っても「二体同時」シークエンスだろう。カテゴリー 4 は一体でもやばい、と来て今度は二体現れるという前振りをした上で、たった一体に数少ない戦力がボッコボコにされ、そこに追い打ちで二体目。あのタイミング最高。超おっかなかった。で、「怪獣映画として想定される満点」を大きく超える戦闘描写を目の当たりにしてしまうと、被破壊物が少ない上に巨大ロボットが巨大に感じない海中戦っていうのは、どうしても見劣りしてしまう。制作側にしてみればこんなものは分かりきっているでしょう。だからこそ『パシフィック』の名に恥じない決戦装置として「カテゴリー 5」を登場させたんだろうけど、如何せんこいつが地味だった。かつてない程にでかくて強い、のかもしれないが、前述した通り周囲にスケールを計るものが無く、(設定上仕方ないのかもしれないけど)パッと見で衝撃を受ける程に外見的個体差がある訳ではないので、「ヤバさ」が伝わってこない。なんかチョロチョロ泳いでた水中戦特化型もいまいち恐くなかった。

「じゃあお前ならどうすんの?」と自分に問いかけてみて、一個思いつく。「カテゴリー 4 三体分相当の『超巨大カイジュウ』」を出します。「三体」くるんじゃなくて「三体分」のがくるんです。でかいのに対抗しようとしてでかい兵器作ったのに、もっとでかいのがきちゃう。イエーガーで大きく見上げれば、スケールの違いも伝わるし、「こいつどうすんだよ感」も十分。これだ。これしかない。けどこれじゃ勝てない、人類が終わってしまう、というところで、全世界でお蔵入りしていた新旧のイエーガーが駆けつけるんですよ。「お前は……! メキシコのイエーガー! ドイツ! ニ、ニッポン!」「ここは任せてお前達は先に行け!」「しかし!」 ……っつー話ですよ。カイジュウの DNA が無いと異次元回廊を通過できない云々はまあ適当に処理するとして、主人公サイドは無事に回廊を塞ぎ、司令と若造のコンビが各国イエーガーの協力の元に超巨大カイジュウにトドメを刺す。どうでしょうか。はったりも効いててイケると思うんですが。「原爆があって良かった!」「原爆万歳だ!」

ともかく、『パシフィック・リム』は良い映画でした。おすすめ。

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