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『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』第 39 話「さよなら杜王町 - 黄金の心」

ボロボロの吉良に向かって追い打ちをかけるように煽りまくる早人。まあ仕方がない。彼には誰よりその権利がある。さて吉良吉影、追いつめられた。だが逃げ場のない状況は一度覆している。そう「バイツァ・ダスト」がまだ残っている。発動させまいとする面々だが、それこそが「バイツァ・ダスト」の力の源だ。だがそのスイッチが押されることはなかった。最後に決めたのが承太郎であることに不満を持つ人もいるようだが、個人的にはこれで良い。なぜなら決着はもうついているからだ。仗助が競り勝ったあの時点で、吉良はもう「詰み」だったのである。承太郎は後始末をしただけ。そして真にトドメを指したのは、杜王町という場所そのものだった。ここら辺、あまりに異物過ぎるが故に地球から追放されたカーズを思い出す。

そして吉良は死んだ。だが誤算なのは幽霊になってなお人生を楽しむ気満々だということだ。どうするつもりなのか。悪霊になって人を殺しまくるつもりなのか。まあ、スタンドはまだ健在な訳だし、吉良的には何の問題もないのかもしれない。だが繰り返しになるが、彼はもう負けている。何一つ思い通りにはいかない、そんな流れの中にあるのだ。振り返ってはならない場所で振り返り、やってはならないことをやってきたものの末路を一身に体現し、吉良はどこか良くない場所へと追放された。それがどこかは分からないが、きっとのんびり音楽を聴いたり、気軽に誰かの家を訪ねたりできないような、そんな「吉良(きちりょう)」とは程遠い場所なのだろう。

こうして一連の異変は解決し、町には穏やかな時間が戻ってきた。出会いと別れも緩やかな流れの中にあって、皆がそれぞれの日常に戻っていく。変わらない力こそが、杜王町という場所が持つ輝きなのだ。第四部完! 第五部の予兆なし! だがやってくれることだろう。待つしか方法はない。

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