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ドラマ『岸辺露伴は動かない』 第四話「ザ・ラン」

さあやってまいりました。来年はどうだか知らないが、今年もこの時がやって参りました。『岸辺露伴は動かない』ドラマ版第一夜(第四話)、「ザ・ラン」。

筋肉の魅力に取り憑かれた男、橋本陽馬にちょい絡みし、仕事に支障が出るレベルまで追い詰められた露伴先生が、珍しく自分の生き方を反省する回……ただしそれは原作の話。ドラマ版では橋本陽馬の危険度がやや低下していたこともあり、露伴先生も反省しながらまだ楽しむ余地を残しました。というのもドラマ版、この「橋本陽馬」編と次回の「チープトリック」編も合わせ、一連の事件を最終話の「六壁坂」に包括させるつもりらしい。構成としては非常に興味深いですね。明らかに人離れした橋本陽馬は、原作のように常軌を逸した妄執の果てに筋肉の神の化身と成ったわけではなく、どうも六壁坂の影響を受けたものと考えられます。つまりドラマ版の六壁坂は『SBR』の「悪魔の手のひら」や『ジョジョリオン』の「壁の目」と同様の役割を付与されているらしく、つまりその土地に関わった、或いは見入られたものにある種の異能(ギフト?)を与えるのでしょう。恐らく「六壁坂」と「壁の目」の字面の類似性に着目した発想なのだと思いますが、原作の要素をピックアップした上での組み直しがお上手。

ただ一方で、個人的には橋本陽馬はもうちょっと鍛え上げられた人に演じて欲しかったかなという印象。「走ることに特化したデザイン(=原作とは違う筋肉への思想)」という理由付けはしてあったものの、原作の橋本陽馬は筋肉の形だけで「人間を超越している」ことに説得力を持たせていたので、その試みの前ではやはりドラマ版のビジュアルはインパクト弱め・パワー不足が否めなかった。

さて明日は「チープ・トリック」……をベースにした怪異の話。バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!

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