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ドラマ『岸辺露伴は動かない』 第八話「ジャンケン小僧

まさかまさか、このエピソードの実写化が叶ってしまった。原作は『ジョジョ』本編「ジャンケン小僧がやって来る!」。

結局「ホットサマー・マーサ」の丸は 4 つとして世に出回ってしまった。ただ一人、作家以外でそのことに憤り、露伴のもとまで抗議に来た少年がいた。彼こそが「ジャンケン小僧」、大柳賢である。というかなるほどね。「3」をこういう共通項として使うのは上手ですね。ここにミューミューを投入したら永遠の循環が完成するかもしれない。

不可抗力とは言え、完成された「3」を崩した露伴を大柳少年は決して許さない。辻神に魅入られ、露伴と同種の「ギフト」を手にした彼はジャンケンを引っ提げて挑んできます。ジャンケンで三勝すれば相手の力を奪うことができる! そう、露伴の「ヘブンズ・ドアー」ですらも! 強すぎる! しかし「ボーイ・U・マン」の何が良いって、勝利条件が単純なのに実現までそこそこの難易度があるところだと思います。ジャンケン勝負を挑まれた側は勝っても得が無いので、相手をまず壇上に上げるのが難しい能力でしょう。そしてその上で三勝しなければならない。どちらかと言えば能力で敵や世の中をどうにかしたいというより、ジャンケンの完成された美しさを愛する少年の、まさしく「ジャンケン小僧」の、勝利とは勝負の先にあるのだって感じの闘争心と美学が具現化したような能力です。その点で問答無用の強制力がある「ヘブンズ・ドアー」はズルい! ズルいのになぜ追い込まれた? 油断か? いえいえ、これこそ少年の闘争心がもぎ取ったものでありましょう。うーん劇画だ。

正直なところドラマ版の決着方法はちょっと強引では? と苦笑いしてしまったが、最後まで「丸 4 つ」に固執した少年と、暗黒面とは言え自分が生んでしまった不完全なデザインを「乗り越えた」露伴の格付けという感じで、文脈的には自然ではあります。細かい技巧が効いてる〜。

ということで今年の露伴も動かなかった(大嘘)。来年はあるのだろうか……と思うが、なんかそれっぽい伏線をバラまいているような、いないような……。「幽霊屋敷」、虹村亭なのか、デッドマンズ Q なのか。まさかルーブル行くのか? それとも等価交換のスタンドバッグと出会うのか??

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