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プリキュアセブン | prev | next

第 27 話「プリキュア大戦」

荒れ果てた世界。その中心にいたマニーは驚くべき光景を目の当たりにしていた。 20 名以上にも及ぶプリキュアがたった 1 人の敵を相手に戦い、圧倒されている。 1 人、また 1 人と倒れていくプリキュアたち。そして後に残った敵とは……「キュアプライド?」。

という夢だったのさ。新人(マニー)は同僚から肩を叩かれて目をさました。職員会議の途中で寝てしまったようだ。ブードゥーキングダムとの決着から数週間。平穏な日々は続いていて、マニーも教師としての職務を全うしていた。ふと窓の外から歓声が届く。体育の授業で司が活躍したのだ。司は変わった。特定の何かに打ち込む事はないものの、少なくとも無気力ではなくなった。目の前の出来事に対して真摯に打ち込むようになった。プリキュアとなって戦う事はもうないだろうが、「出し惜しみしない」喜びや意義を司は知ったのだ。では自分はどうだろう。教師・風間新人ではなく、妖精・マニーはこれからどうすればいいんだろう。戦いが終わって、任務をやり遂げたマニーへの帰還要請は一向に届かない。だったらずっとここにいればいいじゃない、と司は言う。だけど夜の園の復興が……そうだな、それもいいまもしれない。この平和な世界で、ずっと……。しかしそんなマニーの思いを裏切るように、不穏な気配が満ちていく。何だ、これまで感じた事のない、この闇の気配は。

世界に異変が起きる。夥しい数の怪物が溢れかえっているのだ。ブードゥーキングダムはもう倒した筈なのに……違う? カブラーンじゃない!? そして司たちの前に現れる異様な敵。それは自らを「フュージョン」と名乗った。司はキュアプライドへと変身し挑むものの、フュージョンは次々と姿を変えてプライドを翻弄する。だがプライドにも新たな変化が起きる。新しい力を駆使してフュージョンの変身に対応し、ついには撃退に成功するものの、同時に手に入れた力が使う端から失われていく。その時どこからかクイーンハーシュの声が響いた。「力が長く続かないのは、まだ自分のものになっていないからです」。何がどうなっているのか尋ねようとする司だが、そこに現れたのはボトムという巨大な敵。桁外れの強大さは世界を崩壊させていく。そして目の前には、必死に逃げる鈴や大和たち、そして状況に対処しようとするレッド・カンパニーや代樹、そしてみいこたちがいて、空しくもボトムの発した破壊に巻き込まれて……という寸前で、世界は時の進行を止めた。全てが静止している。気付けば司は不思議な空間にいて、すぐそばではクイーンハーシュが微笑んでいた。「ここからが本当の戦いです」。司は尋ねた。「私に何をさせたい?」。答えは「旅を」。

現れるビジョン、それは 6 つの舞台。それぞれに激しい光が迸り、不穏な闇を浄化していた。だがそれで終わりではなかった。各々の闇は祓われたものの、やがてたった 1 つの場所にたどり着き、合わさり、大きくなった。光と闇は対。光が在り続ける限り闇も消えない。ただ形を変え、場所を移すだけ。そして司の住むこの世界こそ「闇が行きつく先」なのだという。大きくなった闇を祓うには、こちらもさらに大きな光で立ち向かうしかない。それがプライドの能力、「他のプリキュアを倒し、その力を奪う」。これから行われるのは、その為の旅だ。驚愕し、拒否しようとする司にクイーンハーシュは問う。「何を戸惑うのですか? 元より貴方は自分こそ『たった 1 人のプリキュア』である事を願った。『全てのプリキュアを否定するプリキュア』……キュアプライドとはそのような思いから生まれた、孤高の存在であるはず」。違う。そう叫びたかった司だが、では自分とは何なのか、世界を救う為にはどうすればいいのか。答えはまだ無かった。完全に崩壊するまでまだ猶予がある、と語るハーシュ。答えが出ないまま、司は黒い穴のようなものに飲み込まれていく。

気が付けば知らない光景が広がっていた。公園。遊ぶ子供たち。ワゴンカー……「TAKO ☆ CAFE」。司自身もまた、覚えのない制服に身を包んでいる。朧気な意識で胸の校章を確認する。「……『ベローネ』……?」。ここはどこだ。世界の崩壊は、みんなは? 司は意識を失い、その場に倒れ込んでしまう。それを見ていた 3 人の少女達が慌てて駆け寄ってくるものの、司に続いて現れたマニーを見てさらに驚くのだった。

「この子……妖精です!」「じゃあ、もしかしてこの女の子って……!」「そ、そんなぁ! ありえなーい!」

次回予告

司「他の世界と他のプリキュア……そういうのもあったのね」

マニー「なんか『プリキュアはひとりで十分』とか言ってたのが馬鹿みたいマニ」

司「誰が馬鹿だ」

マニー「痛い痛い! ……なんか懐かしいマニ」

司「次回、プリキュアセブン。『マックスハートの世界』」

司「すべての絆を明日へと繋げ!」

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