結果 : 【NO GAME】
サザエさん : 7 / キュアピース : 9 / あいこ : 12
解説 : SVC 開始以来初めての事が起きた。『スマイルプリキュア!』は放送され、キュアピースは変身した……しかし彼女はジャンケンをしなかった。この行為について SVC 運営委員会は厳正なる審議を重ね、これをキュアピースの「パス」とし、そのまま「NO GAME」とするという公式見解を発表した。審議の争点は終始こうだった。「宣言も無しにジャンケンを『しない事』は許されるのか」。確かにこれまでの「NO GAME」は、オリンピックなどの突発的休止はあれど、どれも前もっての「宣告」がなされていた。しかし今回の STAGE には何の前振りも存在しなかった。これは「公正さ」に欠ける行為であり、 SVC は愚か「ジャンケン」というシステムそのものに対して泥を塗る「悪行」である! 「公正」の観点から言えば、キュアピースはペナルティを受けるべきだッ! ……そう糾弾する声も決して少なくなかった。だがあえて言おうッ! 「しない事」も戦略の一つであるとッ! これは最終的な委員会の決定ではあるが、ぼくも全くの同意だと主張させてもらうッ! そもそもルールのどこに「毎週ジャンケンしろ」なんて書いてあるんだ? ルールに記載されているのは、「双方の出す手によって勝敗を決める」、だ。片方の手が出されていないのであれば、試合は流すべきという判断は至って妥当だろう。 SVC とは、ジャンケンとは「読み合い」だ。ならば相手が「出してこない」事も読み取ってみせるべきじゃあないのか? なに? 「無茶を言うな」だって? 繰り返すが、これはただのジャンケンじゃあないッ! 「SVC」なんだ! 一挙一動が全力でなければならないッ! ……熱くなってしまったが、ともかくこういう決定だ。様々な異論はあるだろうが、飲み込んでくれ。それよりもぼくは、ルールのグレーポイントを躊躇無く突いてきたキュアピースを高く評価したい気持ちだ。前例が無く「曖昧」であるという事は「黒」と判断されてもおかしくないんだからな。恐らく前もって「手段」自体は考えていたのだろう。だがそれをこのタイミングで使ったというのが、何ともグッとくる。サザエさんの手をみろ。「パー」だ。「パー」だぞ? サザエさんはここ最近パーを濫用している為、一度は温存し、しかし先週再度パーを繰り出した。なるほど、前々回の「温存」はブラフだったのかと驚かされたものだが、なんと今回また「パー」を出してきた。つまり「『温存』というブラフそのものが今週の『パー』のための『ブラフ』」だったんだッ! 恐ろしい……! はっきり言おうッ! ぼくは今恐怖しているッ! キュアピースの「パス」の影に隠れてしまったものの、サザエさんの出した手にこそぼくは強く震撼した。つまりキュアピースはこの手を読み切れず、最後まで悩みに悩んだ末、「パス」という「最終防御策」を使わざるを得なかったんだ。追い込まれた結果の選択だったのかもしれない。しかしこれは確かな「成長」だとぼくは見る。これまでのキュアピースであれば、読み切れない手であっても、目先の勝利の為に無茶な賭けに出ていただろう。そして今週のサザエさんが出した「パー」によって撃墜されていたに違いない。だがキュアピースは根っこの部分で冷静だった。「逃げるという手もある」のだと、学んだんだ。そして最善のタイミングで「パス」の封印を解いた。 SVC 史上前例はなく、そして今後何度も使える手ではない。だがこれ以上はありえないほどのタイミングだったとぼくは確信する。さてサザエさん……今回確実に勝利する為に、あえて肉を斬らせたものの、それでも相手の骨は断てなかった。キュアピースの英断によって閉ざされた「逆転勝利への道」……どうやってこじ開ける? それともこのまま、あっさりとキュアピースに 10 勝を持っていかれてしまうのか?