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罪の火は火に非ず(続編)

あの記事には続編があった!?

前後編で終わらせたはずの「罪の火」についての記事ですが、思いついた事があるのでちょっと書き足します。比較的さくっと読める DLC 的な記事になるはず。罪の火とは何だったのか。

関連記事 : 罪の火は火に非ず 前編 / 後編

怨みの火

軽く過去記事のおさらいをします。
  • 罪の火とは炎属性の闇である。
  • 一見して炎であろうと本質は闇なので、焼かれた土地は実質「深淵に飲まれた」に等しい
  • その発生には何らかの「罪」が起因している

要点としてはこの 3 つくらいのはず。で、闇の貴石のテキストや、それにより強化された闇武器からも推測できる通り、「闇」は信仰に感応する性質を持つようです。はじまりの火によって分かたれるまで光と同じものだった闇は、その性質を共有する訳ですね。

これらを踏まえて以降へ。

怨念がおらんねん

罪の都は消えぬ火(深淵)に飲まれました。それはウーラシールと小ロンドに続く(少なくともプレイヤーが知る限りでは)第三の地です。その辺詳しくは過去記事にて。

で、それら深淵に飲まれた三国を比較した上で、罪の都にのみ欠けているものが、実は一つあるんです。

亡霊 人間性

亡霊たち

亡霊の存在です。

と、言い切った後で細かくいきますが、深淵の穴に沸く人間性たちは小ロンドのそれらと性質を異ならせます。そもそもこれらは亡霊と言っていいのか。こちらをご覧ください。

霊廟 人間性

亡国の暗示

ウーラシールの霊廟、そこに立つモニュメントは、深淵の穴に沸く人間性の似姿となっていました。霊廟のそれは、元はそのままウーラシール民の墓碑だったのでしょうが、やがて深淵に飲まれる国の未来を暗示するものであったのだと思われます。この憶測を進めるなら、深淵の穴に沸く人間性たちは、元々はウーラシール民に宿っていたもの、引いては彼らそのものと言えるんじゃないでしょうか。

これを亡霊と言ってしまうのは乱暴かもしれませんが、正直そこはどうでも良くて、要するに小ロンドとウーラシールの二国において、深淵に飲み込まれた民はこのように肉体を失い彷徨っているという共通点に注目して頂きたい。

ついでにこいつも挙げておきましょう。

ボンバヘッ

死後の念!! 故に強く!!

この浮遊する頭部の名前はどうやら「怨念」。英名は「Wisp」であるようなので、フロム解釈における「ウィル・オ・ウィスプ(人魂)」なのでしょう。こいつは地下墓地と小ロンドの二点で確認できます。『2』と『3』には死体を爆破させる「死者の活性」なる奇跡がありますが、たぶんこの「怨念」を発祥としてるんじゃないかなと。「生」がそうであるように「死」もまたソウルの一面なので、それを威力へ転嫁しているのだと考えられます。ニト自身が周囲に向かって放つ黒い衝撃波(瘴気?)も同様の理屈、というより墓王のそれはより根源的な「死」の力そのものと言えるでしょうか。

そう、「死」もソウルです。しかしそれは通常のソウルと異なり、恐らく「骨」という器に宿してこそ行使できるんじゃないか、とここら辺は過去記事でも度々掘り下げてます。「最初の死者」ニトを代表として、スケルトンたちはこの「死」を動力としていた。であるにも関わらず、死後肉体や骨などを介さず「亡霊」や「怨念」などという、「死(ソウル)」そのものと言える存在として活動できるのは、劇中で確認する限り人間だけです。ちなみに『2』のドラングレイグ城や不死廟にも、人霊が登場します。亡霊とは人のみに許された特性なのでしょうか。

そんな訳で話を戻しますが、罪の都もまた深淵。では小ロンドや深淵の穴に湧いた「亡霊」が、なぜ罪の都には配置されていなかったのか。特に小ロンドと罪の都には、対照的でありながら似た光景が広がっています。

小ロンド遺跡 罪の都

水死体と焼死体

共に積みあがった死体の山。水死体と焼死体という違いはあれど、この共通項もまた二つの地が深淵であると示唆する描写だと考えています。では尚更、ここまでの類似を見せておきながら(それが思い違いでないのなら)、なぜ罪の都のみ亡霊は跋扈しないのか。

ならば考え方を変えてみます。罪の都にも、亡霊は出現していたのだと。

そも「亡霊」とは何か。マヌス戦においてシフを召喚できた事から、霊体での活動そのものは人間以外にも可能と思われます。しかし繰り返しになりますが、死後、「亡霊」「怨念」という在り方はあくまで人にのみ許されている。ならばシンプルに「亡霊」とは、人のみが持つという「人間性(闇)」に根差した現象なのではないかと推測してみます。人とは、肉体を失い、死後尚も「不死」であるという事でしょうか。ウーラシールの深淵において人間性そのものと化した人々の遺志は、まさしくその「答え合わせ」であったのかもしれません。

亡霊一体、火事の元

それを踏まえて上述の仮説と結んでみます。亡霊とは不死性・人間性の関与する現象であり、即ち「闇」に由来する。そして闇が人の信仰に感応し、時にその性質を炎へと変えるのであれば、人の遺志、亡霊もまた炎へと変わる理屈です。

つまり。

なんて火だ!

火の玉

即ち消えぬ罪の火とは、亡霊が炎へ転じた姿なのではないか。

過去の記事では、祈りに呼応した深淵という場所そのものから着火したという書き方をしました。ですが闇そのものというよりは、人を介した末の闇、「遺志や怨念が炎へと姿を変えたもの」という方がニュアンスとしては正しいかもしれません。ならばそれは前述した、爆発性の「怨念(Wisp)」の在り方にむしろ近い。怨みが生んだ「ウィル・オ・ウィスプ(火の玉)」。それが罪の火の本質だったんです。

亡霊 人間性 罪の火

深淵に飲まれた人々

亡霊、人間性、罪の火。もしかするとこれら三つは全て同じものであり、その根源には人の遺志があった。つまるところ、それが言いたい記事でした。

補足 : ソウルの行方と空の穴

当サイトは基本的に「没データ」を元手にした考察をしません。没データは「製品の内容と齟齬がある完全な没」である場合と「不要、または諸事情から削っただけで設定としては生きている」場合に分けられると思うのですが、その区別をつけるのがまず難しいですし、そこに手を出すのは劇中の材料でやれることをやった後でいいかな、というのが理由の半分。あとの半分は、そこまで手を広げると脳の容量を超えるからです。助けてくれ!

という方針なんですが、こういう所にも読み解きの材料はありますよというご紹介も兼ねてちょっとつまみ食いしてみます。一応今回の記事に沿った内容であり興味深いと思う没データを拾ってみました。

『3』にはカットされた要素として「墓石」という要素があったそうで。あまり詳しくないので適当な事を抜かしますが、たぶん公式サインの亜種のようなものだったっぽい。で、墓石に刻まれたフレーバーテキストは劇中のアレコレに関するヒントとして機能する予定だったみたいです。動画からテキストを書き出してくれているサイトにリンクを張っておくので興味のある方はどうぞ

さて、中でも興味深いテキストを抜き出してみます。以下二つ。

  • 深淵の大口が肉体とソウルをかみ砕いた その魂はどこへ流れるのだろうか
  • 魂の捕食者。喪失したソウルは深淵へと飲み込まれた

要するにソウルシリーズと言えばソウルロストが名物ですが、じゃあロストしたソウルってどこにいくの? という疑問に最終作を以て答えを出そうとしていたんじゃないかと思います。消えて無くなる訳ではなく、それはどこかへ流れていくのだと。書かれている事を鵜呑みにするのなら、それは深淵、或いはその更なる深みなのでしょう。そうした上で以下の画像をご覧ください。同じく没データです。

深淵の竜?

このゲームやらせろ

画像右奥の存在が何なのかはこちらのサイトで考察がなされているので興味があればどうぞ(鼻水が噴き出るほど面白いのでおすすめ)。

巨大不明生物は置いておくとして、太陽が滴らせているものは何なのでしょう。そんな疑問を踏まえて以下の画像。こちらは本編終盤及びクズ底以降で確認できる太陽です。

太陽の終わり

まるで巨大なダークリング

「いよいよ火継ぎしないとやばいよ」という、火の陰りも極まってきたタイミングで太陽はこの有様へ変わり果てます。思うにこの光景、言わば巨大なダークリングなんでしょう。

ダークリング

太陽は夜も輝く

そもダークリングとは何かというのは以下の記事で書きました。

関連記事 : 火の封と神の枷

読まなくていいです。要するにダークリングとは「暗い穴」に火の封を施したものだという内容です。

暗い穴
不死人の証にも似た暗い穴。
ぽっかりと体に開いている。
その暗い穴に底は無く、人間性の闇が徐々に漏れだし引き換えに呪いが溜まっていく。
輪の騎士の〇〇
古い人の武器は、深淵によって鍛えられ 僅かにだが生を帯びる
そしてそれ故に、持ち主たちと同様に 神々に火の封を施されたという
ロンドールのヨエル

「ダークリングを刻む者は、誰しも力を秘めているのですよ…」

ダークリングから本当の力を引き出した者に穿たれる「暗い穴」。この穴こそ人の不死性の根源であるなら、それを恐れた神がその穴を封じた。そんな解釈をしてます。つまりダークリングとは、火の陰りに訪れる不死の呪いの象徴でありながらも、その実「最終防衛ライン」、言わば人の内から来る本当に恐ろしいものを堰き止める文字通りのファイアーウォールであり、逆を言えばまだ火が完全に消えていない証拠でもある。そしてダークリングに似た終末の太陽はその象徴と言えます。これが消えた時に、世界は今度こそ暗がりに包まれるのでしょう。

ではその時に何が起こるのか。ダークリングという封印が解除された後に真なる「暗い穴」が待つなら、同様のものが世界そのものへと穿たれる事が予想されます。

没画像の光景に対する個人的な推測は、まさしくその後、もしくは直前の展開だったのではないでしょうか。太陽に似た、しかし力の失われた(失われかけた)それが不死の「暗い穴」と同じ「底知れぬ場所」へ繋がっているとしたら、画像の光景は興味深い。

人の膿

人の膿

幽鬼のトーチ
ある種の深淵は、人中を膿で満たすという

深淵により人は膿で満たされる。この膿が「暗い穴」のテキストにある「呪い」と関連すると仮定するなら、没画像において太陽から滴る黒い何かは、見た目通りの闇か、世界の底へと溜まりに溜まった「呪い(≒膿)」なのかもしれません。

そういえば「深淵の竜」というワードも出てくるだけ出てきました。

ミルウッドの大弓
それはミルウッドの騎士たちが 仇敵たる、深淵の竜に対する武具であったという
深みの加護
深みは本来、静謐にして神聖であり 故におぞましいものたちの寝床となる

ロストしたソウルはどこへ行くのか。没テキストが生きているなら、失われたソウルは深淵へ飲み込まれ、生や死も熱も光も全てない交ぜと成り、闇の底で「おぞましいもの」に変わるか、或いはそういったものたちを育てる糧になるのかもしれません。没画像における巨大不明生物は、そのおぞましいものの権化、巨大な「世界の膿」なのでしょうか。ミルウッドの騎士たちの仇敵「深淵の竜」がこの巨大な膿を指すとするなら、点と点が繋がってくれる気がしています。

……何の話するつもりなんでしたっけ。

ああ、そうだ。つまるところ、火の力が弱まった時に世界には穴があくのかもしれないと、それだけの話がしたかった。膿だの竜だのはただの横道です。

罪の炎
巨人ヨームが薪の王となった後 罪の都は炎により滅びた
それは空より生じ、人々だけを焼いたという

なぜ地下都市である罪の都で、その炎は「空から」生じたのか。火の終末期、世界と深淵の境界は曖昧となり、暗い穴は罪の都の直上でぽっかりと口を開け、そこから迸ったものは、闇に類するもの。或いはその穴の奥がソウルの行き着く場所なら、亡霊の群れ、その濁流のようなものと解釈して良いかもしれません。そして滴り落ちるそれらは罪の都にて消えぬ炎へと転じた。そんな感じでイメージしてみると、本編の空白を補完できて楽しいと思います。

ただ、まあおかしい訳です。太陽を囲むそれが火の封であり、火の力であるなら、ヨームが火を継いだ後に空へ穴が開くというのはおかしい。火が継がれたならば、その力は強まり闇は薄れるはず。そこら辺の齟齬に関しては罪の火の記事(後編)でも触れているのですが、没データを引っ張り出してもやっぱりよくわからんままですね。完全に言ってみただけの項になってしまいましたが、皆さまの考察のヒントにでもなればと思った次第です。

復讐の火

取り留めも無くなってきましたし、そろそろ畳みます。罪の火とは人の怨み、亡霊が炎へ転じたものではないかという話でした。では「罪」とは何か。それはまさしく「罪」だったのではないか。

シフの例は上述しましたが、霊魂、霊体とはそのまま「ソウル」であり、それ自体は全ての生命が宿すと考えていいでしょうか。しかし「霊体」での活動は、あくまでも本体(肉体)が維持された状態でのみ可能なようで、逆に霊体への損傷はそのまま肉体へフィードバックする印象。だから闇霊を倒した後に、本体と思わしき遺体を見かける機会が多いのはその為だったのではないかと思います。

しかし人間だけが、時に肉体を失いながらも活動が可能なようです。それは怨霊や亡霊と呼ばれる存在であり、主に人が多く死んだ(眠る)場所や深淵にて目撃されます。ちなみに『2(SCHOLAR OF THE FIRST SIN)』では「喪失者」なる侵入者がおりました。

喪失者の鎌
不死たちの世界を巡り歩く 喪失者の鎌
王兄アン・ディールは 王とは異なる道理で 呪いの克服を追い求めた
喪失者たちはその情念が生み出した 罪の一つである

「喪失者」とは「帰る肉体を喪失した霊体」だと解釈しています。肉体こそ不死の要なら、体を捨てた先にこそ不死の克服は成る。そのような思索の中で生み出された存在なのではないかと。ここでも「罪」という言葉が出てくるので、罪の火と亡霊を結び付けるならば、その名が示す「罪」とは或いはここなのかもしれません。が、今回それは横に置いておきます。

何が言いたいのか。つまり亡霊とは神の手を離れた、ある種の復讐霊なのではないかと。人を害した者、神域を侵す者、誓約を破った者どもに対し、法に基づく裁きを成し遂げる「システム」が復讐霊であるならば、亡霊とはただ私怨を、或いは既に目的すら喪失したその怨みを果たす為に動き続ける、まさしく形なき「怨霊」なんです。

人にのみ宿るこの危険な特性を律する為に、ベルカは罪と罰を定義していたと考えてみてはどうでしょう。故に、神の威光届かぬ深淵の地には、野放しになった怨霊・亡霊が蔓延っていたのではないか。罪の火とはその一種であった訳です。

関連テキストを読むに、罪の都は戦争を行っていたように思えます。そうした最中生まれた大量の戦死者たちの怨みが亡霊と化したなら、罪の都の「罪」とは、もしかするとここに掛かっているのでしょうか。しかし世界各地、戦争などありふれていそうなもの。それがこのような形で着火した理由こそ、罪の都にあった「呪い」の所為であり、或いはこの場所が暗い深淵の地であった証左なのだと思われます。

ここまで書いて一つ思いつきました。ヨームは罪の火を鎮める為に火を継ぎました。もしかするとそれは成功したのかもしれませんが、しかし戦死者たちは罪の都を決して許さなかったんじゃないでしょうか。火は一度強くなり、闇は或いは遠ざかったのかもしれません。しかし戦死者たちの怨みは消えず、それは何者かの祈りで、もしくは戦死者たち自身の憎しみ(祈り)によって炎へ転じ、その復讐を成し遂げた。これが真相……ってことにしませんか。

消えぬ罪の火とは、戦争という罪、戦死者の怨みから生じた、まさしく「戦火」だったのかもしれません。戦争は無くならない。だからその火も、絶対に消えない。

まとめ

  • 罪の火とは炎属性の闇である。
  • それは人の亡霊(闇)が生んだ。
  • 戦争が罪の火を生むなら、この先も罪の火は生まれ続ける。

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