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プリキュアセブン | prev | next

第 29 話「極光」

プリキュア同士の戦いが始まろうとするや否や、一斉にプライドへと襲いくるダークプリキュア 5。 1 人 1 人が強く、かつその動きは統率が取れている。その凄まじい圧力と手数を前に、さすがのプライドも防戦を余儀なくされ、次第にそれも叶わなくなっていく。だがそこにブラックとホワイト、そしてルミナスが加勢する。どうして……。だがプライドのそんな呟きにブラック達は躊躇無く答えるのだ。「仲間でしょ」。歪むプライドの顔。そこへ覆面の人物と一匹の妖精が現れた。「誰と戦っているブラ」。傍らの妖精がそう言うや否や、ダークプリキュア 5 が闇に消えていく。覆面の人物はプライドを睨み付けるものの黙し、またも妖精「ブラー」が代弁する。「プライドは敵だブラ。全てのプリキュアを破壊する悪魔だブラ」。プライドはブラーの言を否定する為、自分の目的を明かした。月虹の園の危機、それを救うために他の世界のプリキュアの力を手に入れなければならない。「貴方たちが私に力をくれれば、私は『戦いの運命』を肩代わりしてあげられる」。他の人間を「プリキュアである事」から解放する。それはこれまでやってきた事と同じだ。だがブラーは笑い飛ばす。「騙されるなブラ」。プライドに力を明け渡して、それでこちらの世界を誰が守る? プライドか? 他のプリキュア達がやってきた事全てを、たった 1 人で賄えるとでも? そもそもこちらの世界に新たな闇がもたらされたのは、プライドの出現と同時だ。無関係な筈がない。キュアプライドは「闇の使者」だ。……そう言い放ち、覆面の人物とブラーはひとまず退散していく。その後ろ姿にプライドが尋ねた。「あなたは一体なんなの?」「……ジョン・ドゥ、とでも名乗っておくブラ」 頑として自らの口を開こうとしない覆面の人物は、男なのか女なのかも分からない。人間なのかすら。でも、それは、自分も同じかもしれない。キュアプライドは、敵で、悪魔で、闇の使者?

去っていく司に対して何も言えないまま、なぎさとほのかとひかりは色々な話をした。「もしもプリキュアじゃなくなったらどうする?」。これまでその機会は二度あった。だがプリキュアの力を本当の意味で手放した事は一度も無い。普通の女の子。それはどんな気分だったっけ。翌日、司は再度ラクロス部で走り回っていた。他にやる事も無かったからだ。そこへ立ちふさがるなぎさ。引退した身だが、期待の新入部員の実力とやらを確かめてやりに戻ってきた、と。始まる紅白戦。結果は、なぎさチームの勝利だった。未だ答えの出ない様子の司になぎさは微笑みかける。「あのね――」。言いかけた所で、再度昏睡現象。現れた敵は、ゲキドラーゴとポイズニーだった。そして捕らえられて苦しむひかるの姿が。凄まじい勢いで高まりつつある闇の力……今ならひかるを使ってジャアクキングを蘇らせる事が可能。させない、と変身しようとするなぎさ、ほのか、ひかり。それを静止する司。「私が 1 人でやる。やってみせる」。この人たちをこれ以上戦わせたりしない。もうそんな必要はないんだと、証明してやる! 司、決意の変身。ゲキドラーゴ達に向かっていく。プライド VS. ゲキドラーゴ & ポイズニー。奮闘するプライドだが、さすがに幹部級、それも強化された 2 人を相手取るのは難しい。押し切られ、あわやというところでブラック達が駆けつけた。まただ、また助けられた。プライドは再度口にする。「どうして」。そして彼女達は言う。「だってわたしたちはプリキュアだから」「いまさら守られるだけだなんて」「そんなの絶対ありえない!」。放たれる「エキストリーム・ルミナリオ」。

ゲキドラーゴ達を撃破した後、プライドに対してブラックは言う。簡単な事なんだ、と。「あなたの世界に、私たちも行けばいいんだよ」。プライドひとりでは戦わせない。そんな答えを笑顔で口にする彼女達にプライドは驚く。だがそんな感慨も束の間、闇の力が大きく膨れあがった。そして天にそびえ立つ巨大な影――ジャアクキング。かつて限界のギリギリで倒した邪悪の王が、あの時よりも更に強い。だがそんな相手にも少しの絶望も抱いていないブラック達を見て、思う。彼女達はずっとこうやって戦い続けてきたのだ。そしてきっとこれからも。そんな彼女達に「引退しろ」? 歴戦のプリキュアに対して、私は何て口の利き方を。見覚えの無いプリキュアに対してジャアクキングは問いかけた。「貴様は一体、何者だ」。それは本質を突いた問いだった。自分は何者か。「司馬司」とは何者なのか。「キュアプライド」とは一体何だ。未だ答えはない。だけど自分は傍らに立つ彼女達と同じ存在だ。何もかもがあやふやな中、それだけは確かで、誇って良い事実の筈なのだ。だからプライドは答える。「通りすがりの、プリキュアだ!」。無限色のカード発動。そして戦いのステージは宇宙へ移行し、そこには無限の力を有する巨大なプリキュアが存在していた。「無限に輝く光の使者――ふたりはプリキュア・マックスハート・無限シルエット・プラス・プライド!」。ジャアクキングの放つ極限の闇に対し、無限のプリキュアは「プリキュア・マーブル・スクリュー・アルティメイト・スパーク」で対抗する。「ジャアクキング……またあんたは現れるのかもしれない。わたしたちの戦いは終わらないのかもしれない。だったらそれでもいい。何度だって、やっつけてあげる! だから今は! とっととお家に帰りなさい!」。無限のエネルギーを前にジャアクキングはあえなく消滅し、今度こそ本当に勝利した。この力なら、みんなが居れば世界を守れると確信する司。そしてほのかが、冬休みを利用して他のプリキュアのところに助力を求めに行こうと提案した、次の瞬間。空間に空いた穴がほのかを捕らえる。叫び、手を伸ばすなぎさ。だがその声も空しく、ほのかは……。

ほのかが連れ去られた。消沈するなぎさ達だが、そこへ飛び込んでくるアカネの遠征話。なぎさ達ももうすぐ高等部に上がる事だし、自分も武者修行して成長するというアカネ。ひかりが冬休みの間に回ってこようというその言葉に、なぎさと司が「自分も行く」と食い付く。アカネの行き先は決まっていない。ならば他のプリキュア達の所を回って貰う事もできるし、プリキュアのいるところにはきっと闇の連中も出現するだろう。ほのかを連れ去った存在にも行き当たるかもしれない。対してひかりとひかるは残るという。なぎさがプリキュアになれない今、もし敵が来たら自分が戦わなければならない。事情は分からないが何が何でもついてこようとする司達に負け、了承するアカネ。かくして司となぎさ、ふたりのプリキュアによる旅がここに幕を上げたのだった。

「アカネさん、これからどこに行くの?」「そうだねー。一度行ってみたい町があってさ」「どこ?」「『加音町』。音楽の町だよ」

次回、プリキュアセブン

司「プラス・プライド……そういうのもあるのね」

マニー「もう何でもありマニね」

司「ところであんた、この世界じゃ本当にただの無職だよね」

マニー「……」

司「そ、そんな顔しないでよ」

司「次回、プリキュアセブン。『第二楽章♪ メイジャーランドの王女さまニャ!』」

司「すべての絆を明日へと繋げ!」

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