おはようございます。観ました? 観てない? 観ろッッッ!
観ましたね?
2024 年 6 月 21 日配信の DLC、『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE(シャドウ・オブ・ジ・エルドツリー)』のストーリートレーラーです。 DLC 配信までに何かしら記事は上げようと思ったのですが、取りあえずトレーラーを受けての所感というか、幾つかの簡単な思いつきでも先出ししておこうかなと。
何度か言ってる気もしますし、思ってるだけで言ってなかった気もするのですが、基本的にゲームの、特にフロムゲーの考察というのは「採点者不在の問題を解き続けている」のと同じで、どこまで行っても応答の発生しない遊びです。楽しいからやっている。
しかしこうした新作および DLC 配信前に何かしら言っておくと、何らかの形でスカッたりカスッたりできるわけです。新作の間隙を狙うことでのみ発生する「手触り」というものがある。外しはしない。
というわけでいつもの如く書きながら内容を考えるスタイルでいくので、取り留めのないことになるでしょうが、まあやってみましょう。巻き込まれるなよ。
まずはこれ。
黄金の始まり
死屍累々、血肉によって築かれた扉、あるいは境界でしょうか。
マリカ(と思われる人物)が、遺体の一つ、もしくは衣服に残された金色の頭髪のようなものを拾い上げる。さながら『羅生門』のようですが、眼前に扉(門)があることからも意識しているのかもしれません。
そして我々が昇降機の前で割符を用いたように、金色の繊維系はマリカ(と思われる人物)によって高く掲げられ、なびき――。
黄金はそうして生まれ、また、影も生まれた。
もっともこの所作によって「黄金が生まれた」かどうかは恣意的な切り取りではあるのですが、注目したいのは、その人物によって掲げられた金色の髪の毛が上向きの弧を描く様。
磔のマリカ
関連記事 : エルデの王になりました。
本編冒頭で描かれるマリカは、本編最後、似た有り様で再登場します。劇中の絵画やマリカ像などでしつこいほどに繰り返されたシルエットの意味するところは、永遠の女王マリカとは、黄金律によって捕らえられ、磔にすらされていた事実です。
彼女を拘束する黄金のルーンと、今回の DLC トレーラー冒頭で掲げられた黄金の頭髪が同じく弧を描いているのは暗示だと解釈します。即ちこれこそが永遠の女王マリカの「はじまりとおわり」の形であるのだと。
はじまりとおわり
彼女は「自らが掲げた黄金に囚われた」わけです。
……とはいえ実のところ、このシーンにはまだ掘り下げる余地があると思っているのですが、取りあえず今回はこの「黄金の弧」が象徴するところだけ覚えておけば良いでしょう。
影の地については以前ちょっと考えてまとめました。
黄金律と影の地について
影の地についての推測を簡単に纏めれば、「黄金律によって循環した生命の内、ろ過された『忌み』の集積地」だと思います。生命とは元は坩堝。これを黄金樹によって吸い上げ、個の生命として産み落とし、やがて樹に還す(還樹)。このサイクルを完成させるために「死」という結末を生態系から取り除く必要があったわけですね。死なれては困る。樹に還さなければ。
黄金律とはこの循環の仕組みそのものであり、エルデンリングとはこの仕組みを成立させるプログラムと考えれば分かりやすいでしょうか。
原始、坩堝と呼ばれたそれは「黄金」となり、循環を繰り返す度に純度を上げていき、そして黄金律によるフィルタリングによって不純物とみなされた何かは「忌み」として、死も還樹も許されず、ただ廃棄される。影の地とはその「忌み」が最後に辿り着く場所なんじゃないでしょうか。
そして、戦いが起こった。決して謳われぬ、隠された戦いが。祝福も、名誉もない、粛清が。
と、考えると、この一文にある「隠された戦い」「粛清」とは、律によって生まれた「黄金にまつわる者たち」が、この「忌み」の一片の存在すら許さなかった結果起きたホロコースト(虐殺)と言えるでしょう。
或いは、黄金律成立当初、生命がまだ多くの「忌み」を含有していたが故に、その「忌み」を早々に生命より分離させるため、ひたすら殺戮(フィルタリング)を繰り返した、それがこの「隠された戦い」なのかもしれません。
隠された理由もそれとなく理解できる気がします。今でこそ忌み者として排斥される者たちこそ、かつて人々が有した自然な姿だったことを意味するのですから。
しかしかつては忌み者たちも「冗談じゃねえ!」と蜂起し、当然ながら黄金勢力に立ち向かったのでしょう。「マリカの子」であるというメスメルを黄金勢力と見做すなら、トレーラーの中で彼を襲った獅子に似た異形は、忌み者勢力ということになります。
勝手に戦え!
だとすればメスメルの火とは忌み者を焼いた、称えられるべき力であるはずですが、一方では黄金樹にとってある種の火は禁忌であるともされています。
滅びの火は、黄金樹の禁忌 - 「火付け」など
黄金樹を焼くは、原初の大罪 - 「火の大罪」
この「原初の大罪」にメスメルは関わるのか、なぜ彼の髪は火の巨人の如く赤いのか、そもそもなぜ彼に火の力が宿るのか。
巨人とは。ラダゴンとは。なぜラダゴンの髪は赤いのか。
どうもかねてよりの謎が連動して氷解してくれそうな気配が漂ってきましたが……。
DLC 配信を間近に控え、公式が登場人物、或いはボスキャラクターのビジュアルをポストしました。
Fearsome foes of unfathomable power await you in the Realm of Shadow. #EldenRing #ShadowoftheErdtree pic.twitter.com/FanctKb6DC
— ELDEN RING (@ELDENRING) May 17, 2024
忌み角があるので忌み者であろうことは伺えるのですが、なぜわざわざポストしたかはまだ不明。相当の重要キャラクターなのでしょうか。
注目したいのは両手に持っている、恐らくは武器でしょうか。これ、「SHADOW OF THE ERDTREE」のロゴの「O」の部分を想起させる形状なんですよね。
タイトル・ロゴ・オブ・エルドツリー
O
「リング」は本編でも重要なキーワードであり、ジェスチャーの中でも際立って目立ちました。それは黄金律による、誕生と還樹のサイクルを示しているようでもあり、エルデンリングを構成する大ルーンのようでもありましたが、この DLC キャラクターが所有するささくれ立ったリングは何を意味するのでしょうか。影の地には影の地なりの律やサイクルが存在する、その示唆なのでしょうか。
ということでこの忌み角を持つ DLC キャラクターですが推測するなら三つ。
- なんだか知らんけどメチャ強い忌み者
- 生命と「忌み」がまだ未分化であり、黄金律によるフィルタリングが行き届いていない段階の、原初の人間の生き残り
- 影の地に存在する「影の律」のようなものが生んだ、新たな人間ないし生命
仮説を立てるならこんな感じでしょうか。
5 月 25 日現在、公式アカウントがポストしたキャラクターはもう一人。
Will you walk with us? #ELDENRING #ShadowoftheErdtree pic.twitter.com/gSKjQwnKv6
— ELDEN RING (@ELDENRING) May 23, 2024
ミケラ現地組
ミケラを追う集団の一人、先頭にいる人物だとは思うのですが、性別もはっきりしません。トレーラーのナレーションが女性であること、それがこの騎士の発するものであるなら、この麗しい人物は女性であると推測できます。ただまあ、正直なんとも言えないですけどね。携える剣が神の遺剣に似ているのも気になる。
しかし金髪であるのは捨て置けない。女王マリカの血縁である可能性がある。
関連記事 : ミランダ仮説 - 接ぎ -
以前記事にしましたが、本編に登場する NPC、ローデリカはマリカの遠縁であるという解釈ができます。デミゴッドたちにはそれぞれ親との関連性を示す「M」や「R」などの頭文字がつきますが、ローデリカの名にもマリカを思わせる「リカ」が含まれている。
円卓でローデリカの立ち位置と線対称に置かれたマリカ像は、それを思うと意味深です。
ローデリカとマリカ像
ちなみに上記の関連記事では触れませんでしたが、亜人女王たちの名はそれぞれ「マーゴ(M)」「マギ(M)」、そして「ギリカ」。亜人とは人間のなりそこないのようなものと解釈していますが、亜人たちの出自に関しても DLC で触れてくれるんでしょうか。
というわけでこの正体不明・性別不詳の騎士に話を戻しますが、この人物もまたローデリカと同じ「マリカに連なるもの」ではないかと推測します。どうもこの騎士がミケラその人ではないかという読みもあるようですが、どうでしょうね、気になりますね。
何にせよ、仮にマリカの遠縁だとすれば、この騎士の名にも「M」や「リカ」の字が入る可能性が高い。であれば DLC 配信前にひとつ予想を立ててみましょうか。騎士、騎士ねえ。
『ELDEN RING』に「ファリス」や「ゲール」、「アナスタシア」など過去作からのセルフオマージュが散見することも加味して……。
そうですね。「リカール」、なんてどうでしょう。
そろそろ最後にしますが、このカットも非常に気になりますね。
落ちるトリーナ
DLC 最重要人物の一人にミケラがいることからも、恐らくこの暗闇に落ちていく人物はトリーナなのだろうと考えます。
ミケラのスイレン / トリーナのスイレン
- ファリスの製法書
- 聖女トリーナに心奪われた男の製法書
- 彼は眠りの中に、トリーナを探し続けた
- トリーナの剣
- トリーナは、謎めいている
- 儚い少女であるといい、少年であるといい
- 忽然と現れ、忽然と消えていくという
色々すっ飛ばして既定路線のように語って申し訳がないのですが、この二種のスイレンの似通い、そして聖女トリーナを探したというファリスの製法書【3】(よりによって色々知ってそうなギデオンから渡される)にはミケラに関わる「誘惑の枝」の製法が記され、そして「トリーナの剣」には「儚い少女であるといい、少年であるといい」の一文。
マリカがラダゴンであったように、ミケラという神人もまた一つの体に二つの性を同居させているのではないか、そう推測することができるわけです。
ミケラのスイレン / トリーナのスイレン
ミケラという神人の中にトリーナという人格も宿っていたのか、ミケラが時にトリーナを名乗っていただけなのかはわかりませんが、トレーラーで描かれる「落ちていく人物」の様がトリーナのスイレン(そして睡眠関係のエフェクト色)を彷彿とさせるあたり、やはりこの人物は聖女トリーナだと考えられます。
もう一つ。梟がドロップする「睡卵」について。
- 睡卵
- 梟が抱卵する、孵ることのない卵
- アイテム製作に用いる素材のひとつ
- それは、最上の眠りの象徴として珍重される
このアイテム自体は睡眠耐性に関わるアイテムの素材となりますが、「孵ることのない卵」という一文が目を引きます。「最上の眠りの象徴」であり、「孵ることのない卵」であるというそれは、転じて卵の中に「永遠の眠り」が存在することを連想させます。
そして「睡卵(スイラン)」とは「スイレン」に似て、これもまたトリーナ(ミケラ)との関連性が伺える。
神人眠りの繭 / 睡卵
干からびたミケラが繭の中で眠り、この繭が一種の「睡卵」であるなら、彼はこの「孵ることのない卵」の中で永遠の夢に沈むことを選んだのかもしれません。そして死衾の乙女、フィアの夢の中で死竜フォルサクスが死に蝕まれていたことを思うに、この世界の睡眠、及び「夢」とは、ある種の異世界、或いは入口なのでしょう。そして神人眠りの繭は DLC エリアへの入口らしいです。
だから、ミケラ様はすべてを棄てていく。その黄金の身体も、力も。宿命も。
ラニが神人としての運命から逃れるため、死のルーンを使い自らの肉体を殺した一方で、ミケラは「眠り」という手段を用いることで、身体と魂を切り離してみせたのでしょうか。
関連記事 : エルデ備忘録 05 〜 DLC が出るデンリング 〜
本編にて影と形しかなかったミケラの目的とは何だったのかと以前考え、それは黄金律が排斥した者たちを受け入れるための、新たな律を作り出そうとしていたのではないか、そんな仮説を立てました。
果たして、本来マリカの子として期待されていた(マリカの後継としての?)役割を放棄するためにミケラは自らの黄金を棄てたのか、もしかすると自らが救おうとした何もかもをも投げ出してしまいたかったのか。
それでも、私たちは追う。あのお方の行く道を。
恐らく DLC で我々がミケラより先に接触するのは彼を追う一団でしょう。その一団が「それでも」追いすがり、望むものからミケラが遠ざかろうというのであれば、まずは謎の騎士含む一団に対峙することが謎を解くヒントになりそうです。愉しみですね。あなたはどうですか?
……君も、そうなのだろう?
トレーラーの末尾が、かつて本編のストーリートレーラーでラニが結んだ「ああ、だから今も世界は壊れたまま エルデの王を待っている。…あるいは、お前がそうなのかな?」と似せているのも憎い。
この憎しみから解放されるまで、あとひと月足らず。
DLC に向けて取りあえず書いておきたかったことはある程度書きました。まだあるんですが、今回はこんなもんでしょう。皆さんも考えてみて、カスッたりスカッたりするのだ。
それでは。