2022 年現在、フロム・ソフトウェアで「RING」と名に付くゲームと言えば何を思い浮かべるでしょうか。ほら、頭文字が「E」で……ジャンルはファンタジーで……ドラゴンとか出てきて……クラフト要素があって……時間経過の概念なんかもあって……冒険の舞台は海に囲まれている……と、ここまでヒントを出せばもうお分かりでしょう。
そう、『ETRNAL RING(エターナル リング)』ですよね。
『ETRNAL RING』
- ジャンル : 3D リアルタイム RPG
- プラットフォーム : PlayStation 2
- プレイ人数 : 1 人
- 発売元 : フロム・ソフトウェア
- 発売日 : 2000 年 3 月 4 日
全ては1つの戦から始まった。
大陸の覇権を手に入れようとする王国アルダインが、大陸中央に位置する民族ソルシアへの侵攻を開始したのである。ソルシアはこれに対して抗戦するが、歴然とした兵の数による差は如何ともしがたく、 アルダインに押し切られるのは時間の問題であった。
領土を守りきれないことを悟ったソルシアの王は生き延びた僅かな民を連れ、彼らが聖地とあがめる辺境の地、「不帰の島」へと落ち延びていった。無事聖地にたどり着いたソルシアの民であったが、その平穏はつかの間のものでしかなかった。アルダインの王、マシュー・D・ロス3世は、自ら討伐部隊を率いて聖地へ向かい追撃を行ったのである。
アルダインの兵力から考えると、マシューの勝利は確実なはずであった。しかし、いつまでたってもマシューと討伐部隊は城に戻ることはなかった。国の要であった王がいないアルダインは徐々に衰退の一途をたどり、ついには滅亡した。
それから数十年の後。大陸に新たに生まれた王国ヘインガリア。
ヘインガリアの実質的な権力者である「長老」達は、大陸制覇をも可能にする絶大なる力を探し求めていた。そしてある日、長老達は何の前触れもなく騎士団の一部隊を調査のためと称して不帰の島に派遣した。
血を好まないヘインガリア国王、イアン・マーティンはこの突然の調査を不信に思い、長老達の真意を確かめるため、 信頼する護衛部隊の中から1人の兵士を呼び出した……。
その兵士の名はカイン・モーガン。
国王直々の命令によって「不帰の島」と呼ばれる絶海の孤島へ旅立つカイン。そこには彼の想像を絶する世界が広がっていた…。
公式サイト(アーカイブ)より引用
この男が主人公のカイン・モーガンだッ!
さて PS2 のローンチタイトルとして発売されたこのゲームですが、ベーシックなシステムは『KING'S FIELD』とほぼ同じ。幾つか異なる点はありますが、最大のものは「攻略の主体が魔法」という点でしょう。近接武器はありますが、補助も補助。それこそ「敵があと一発で倒せるけど MP 節約したいわぁ」というテンションで運用するのがこのゲームにおける近接攻撃であり、基本的には魔法をドバドバ撃っていかないと話になりません。このゲームが難しいと評される理由の殆どがそこであり、当時詰んでしまった人は、恐らく「魔法はサブ運用するもの」という印象が抜けきらなかったんじゃないかと思ってます。なので其処らを念頭に置いた上で改めて攻略してみると、実のところそこまで難しい内容じゃない気がする……んですけどね〜(当時のレビューを軽く探って一部のあんまりなボロカスっぷりに慄いている)。
繰り返しになりますが本作の目玉は魔法、というより指輪(リング)でございます。魔法の宿ったそれを付け替えて組み合わせ、状況や敵を乗り越えていくわけです。特筆すべきは指輪の合成システムでしょう。ベースになる指輪と触媒になる石を掛け合わせて異なる指輪(魔法)をクラフトするのですが、これが結構楽しい。ルールを把握するのにちょっと苦労しましたが、収集癖があれば一層楽しめること請け合いでしょう。
ちなみに隠しダンジョン(あんまり隠れてないですけど)もあって、本編とは比較にならないほど敵が強く、景色が変わらないから迷いまくるという最高のコンテンツなんですが、クリアすると「最強の近接武器」が手に入ります。こいつがメチャ強い! と言いたいところなんですが、これを手に入れられるほど強化が進むと、そもそも本編で敵と呼べる相手がいなくなるので、あんまり意味が無いっていうね。こういう記念品程度の意味しか持たされていない最強装備を見ると時代を感じられてエモい。せめて周回要素があれば、と言ったところ。
ではフロムゲー温故知新。「最新」に繋がる「源流」がこんなところに。フロム・ソフトウェアのゲームはセルフオマージュに富んでいるというのが周知の事実でしょうが、やはり改めて古い作品に手を出してみるものですね。色々見つけました。
一足お先にフロム・ソフトウェアの『エ××××リング』はじめさせていただきます。 pic.twitter.com/ViIj5D975E
— ACID BAKERY (@cid_bakery) July 25, 2021
twitter である程度まとめたのでそっち見て貰った方が早いんですが、一部抜粋しましょう。
OK
些細なことではありますが、本作の舞台は「不帰の島」。そして後々の『DARK SOULS 3』には「不帰のロスリック」「不帰の騎士団」なんて言い回しがありますね。「不帰」なんて別に特別な言い回しでもないですが、こういう些細な共通点にいちいち注目するコーナーでもあります。
キマイラ / 霊廟の聖獣(『ダークソウル』)
この合成ライオンが霊廟の聖獣の原型……かどうかは分かりませんが、実はもっと前に発売されている『スプリガン ルナヴァース』まで辿れます。ムーンライトほどではないですが、意外に脈々と受け継がれているフロム製キマイラ。
後々に「犠牲の指輪」として名を馳せることになるものの原型がここに。
サンダー。雷とは光属性である。
ソウルシリーズをやっていると「光=雷」という符号にしっくりこない人もいるようです。これはそのしっくりの来なさを解決するものでもないんですが、フロムは過去作でも雷を光属性として扱っていたよ、くらいの認識はしておいて損はないかもしれません(別にフロムの独自分類ってわけでもありませんが)。
とまあこういう見比べが出来るので、今更ながら過去作を掘ってみるのは楽しかったりします。フロムといえばソウルシリーズ、という印象が強まった今だからこそ、むしろその源流を辿ってみるのも一興なんじゃないかと。
別の「リング」の修復に疲れたら、不帰の島に寄り道してみてもいいんじゃないでしょうか。
壊れかけの時代
ということで『ETERNAL RING』。指輪集めが楽しい、ストーリーもすっきりしていて、良いゲームでした。