『RUNE』
2022.08.20
キーワードは「ルーン」だ!
みなさま、フロム・ソフトウェアという会社の最新作を遊びましたか? 面白いらしいですね。噂を聞きつけたので遊んでみようと思ったのですが、タイトルを失念してしまいました。なんとか断片的な情報から推定したいのですが、どうも「ルーン」というものが重要なキーワードになるのだとか。じゃあもう一つしかないじゃん。始めていきます。

『RUNE(ルーン)』

ちょっと出遅れたけどフロム・ソフトウェアの最新作を遊んでみたいなと思い、始めてみました。タイトルが分からなかったけど「ルーン」がキーワードらしいので、たぶんこれかな。#RUNE#フロムソフトウェア最新作 pic.twitter.com/0W2hnIJ1Tj
— ACID BAKERY (@cid_bakery) July 12, 2022
ストーリー
人々がその異常に気付いたのは、小さな森が一つ消えた時である。昨日まで森だったその場所には、闇そのもののような黒い霧があった。森の様子を知ろうと、何人もの人間が霧の中へと分け入ったが、戻る者は一人としていなかった。
森の次は湖が、そしてその次には町が一つ…と消えていった。残されたその場所には、全てを飲み込むような黒い霧が立ち込めているのみだった。
古き盟約に従い、互いに不干渉を続けてきた五人の王たちは数百年ぶりに一同に介し、この怪異について論じ合ったが、答えを持つ者は誰一人いなかった。人々は噂しあった。魔神が蘇ったのだと――。
そして今、五王国のひとつオランジュに危機が訪れようとしていた…
ポケットにファンタジー
そんな王国の、ひいては世界の危機に立ち上がったオランジュの姫カティアは、王家の秘宝である「鍵」とデッキを手に旅立ちます。世界を覆う霧は絶えず異形を生み出し続けているのであり、そしてこの「鍵」とカードは、それら異形を封じ使役する能力を持ちました。毒を以て毒を制す。異形には異形をぶつけんだよ。カティアは鍵モントレーナーとして黒い霧の原因究明を、そしてやがては創世の秘密に触れていくことになります。
さて、本作をシンプルに言い表すなら、「3D アクション RPG をベースとした『ポケモン』」です。おや? と思った方は鋭い。そう 2022 年発売の『ポケモン アルセウス』がそのようなゲームでした。厳密には幾つもの相違点こそあるものの、『アルセウス』の 20 年も前にフロム・ソフトウェアは先駆けていたのであり、即ち『RUNE』が無ければ『アルセウス』もまた存在し得なかったのだと、そいうことに、なんとかなりませんか?
『ポケモン』と聞いていまいちそそられないなら、『デュエル・モンスターズ』はどうだい。ソリッド・ビジョンによって具現化したモンスターを使役し相手デュエリスト(決闘者)にダイレクト・アタックする、そんなゲームで遊びたくはありませんか? それとも「鍵」「魔法のカード」「女の子」という要素から『カードキャプターさくら』を想起したっていい。ちょっとでもピンと来るものがあるなら触ってみてください。頼みますね。
ってなわけで「ファンタジー世界で 3D アクションをベースにポケモンバトルできたら楽しそうだよね」という、当時本家がまだ手を付けていなかった分野を先取りする形での明瞭なコンセプトを感じさせる『RUNE』。やりたいことに嘘を吐いていないせいか、ちゃんと面白いのがこのゲームの良いところ。もちろんぎこちなさや洗練されていなさは多分にありますし、相変わらず断片的にしか語られない設定やキャラクターたち、ゲーム全体を包み込む末期的で薄暗い雰囲気などの「フロムらしさ」が人を選ぶ部分はあると思います。しかしこれはいつものこと。今や世界はその「らしさ」を受け入れつつある。ソウルシリーズしかやっていないのに「さすがフロム」などと宣って憚らない時代は終わったんです! いや、あなたが! 自分の手で終わらせるんです! クリアタイムは大体 12 時間くらい! 要領のいい方ならもっと短く済むでしょう! さっくり遊べる良ゲーです! 興味がある方は、是非!
あ、そうそう。ちなみにこのゲーム、カードを投げてぶつけることでもダメージを与えることができ、これがかなり重要。限界まで弱らせたモンスターに対しカード投げによってトドメを刺すと、なんと封印(ゲット)出来ちゃうんですよね。一層『ポケモン』じゃん、と言いたいでしょうが、そうでもないです。これは別にやらなくてもクリアできるから。そりゃ『ポケモン』でも無捕縛でのクリアは可能でしょうが、縛りの域でしょう。『RUNE』の場合、カードという媒体の性質上、「カードを拾う」「買う」形でもモンスターをゲットできます。なので散々『ポケモン』だと擦ってはきましたが、モンスターをゲットするのがめんどくさいなと思う人は断然『RUNE』を選ぶべきでしょう。興味がある方は、是非! 対戦モードもあるよ!
雑感として
「ルーン」ってなに?
まずタイトルの「ルーン」の意味なのですが(確か劇中にそんな言葉は出てこないはず)、恐らくモンスターの召喚コストである「魔法石」を指していると思われます。これは後々のご紹介になりますが、本作には続編がありまして、その中でこの魔法石は「ルーンストーン」と呼ばれているんですね。つまり魔法石、ならびにその力の源であろう「魔法」あるいは「魔力」をタイトルに持ってきたのでしょう。
木なのか樹なのか



樹なのか木なのか

大した話ではないんですが、説明書と本編で表記ゆれがあるってだけなんですけど、重要な要素である属性名が揺れてるって大分堂々とした揺れ方だなと。当然ながらゲーム本編での表記を正と捉えているので「木」属性が正しいのだとは思いますが、説明書だと「樹」なので、始めたての頃は少し戸惑ってしまった。
RPG 史上最弱の主人公
主人公カティアは本作の TVCM 曰く「RPG 史上最弱の主人公」らしいです。戦闘力を持たない彼女が異形の助けを借りて戦うスタイルを説明するためのコピーだとは思うのですが、その理屈で言ったらポケモントレーナーはどうなるんだという話はさておき、そんな RPG 史上最弱の主人公とやらを過酷な旅に放り出すとは、フロム・ソフトウェアとは何と非道な企業なのでしょうね。ではカティア姫の雑誌広告掲載時のセリフをご覧ください。

「かかっておいで・・」 / 公式サイトより引用

嘘だろ。めちゃめちゃ好戦的じゃねえか。どうみても使役する異形の力をも自分の実力と捉えてる奴の佇まいだろ。こんな最弱キャラがいてたまるか。本編でロクにセリフもないのに。
フロムゲー温故知新
では最後に恒例のやつ。「ああ、フロムのあのネタってこの時代からあったのね」のコーナーです。とはいえ本作には先々へと続くネタはそこまで見つけられなかったのですが、強いて言うならの観点で幾つか挙げていこうと思います。
霧

ヤバイ霧が出て、ヤバイ

突如発生した霧が世界を飲み込んでいき、そして怪物が……という出だしは、御存じ『デモンズソウル』と同じもの。とはいえこの設定の源流にはスティーブン・キングの『霧』が位置している気がしますし、どちらかといえばセルフではなくキング・オマージュを繰り返しているといった方が正しいかもしれません。その後も『ダークソウル』や『ブラッドボーン』などで霧は神秘なるものの象徴的な意味を持ちますし、フロムの「お気に入り」だとしておくのが穏当でしょうか。というか、みんなスティーブン・キングが大好きだよね。
宝箱からスケルトン

伝統芸能

「宝箱を開けると中からスケルトンが……」というのは最初のフロムゲー『キングスフィールド』からのネタ。いつの間にか失われてしまったものの一つではあるのですが、ふと思えばソウルシリーズのミミックって「宝箱から敵」の再生産だったんだろうか。
死の王

死を操る者

『RUNE』序盤のボスであり手持ちカードにもできる「ネクロマンサー」。このモンスターは巨大なドクロを放ってくるなど、どことなく『DARK SOULS』のニト戦を思わせますし、そもニトを大きな意味でのネクロマンサーと捉えれば、結構分かりやすいセルフオマージュと言えなくもないですが、「髑髏の集合体」というビジュアル自体が絶対的なものでもないでしょうし、あくまでも「強いて言えば」です。
手の敵





手。

んー、まあ手の形をした敵という意味で、これも絶対的なビジュアルではないのでセルフオマージュとは正直思ってないのですが、一応参考までに。
マグマ

マグマステージ

これもフロムの伝統芸と言えるかもしれない(オーソドックスを外さないとも言える)。
「王となれ」

「王となれ」

「王となれ」。フロム最新作の重要なコピーだと伺っております。果たしてカティア姫は王となることができるのでしょうか。かかっておいで・・。