別館で扱うか悩みましたが、当初想定していたより長くなったので結局こちらで。今回は考察ではなく小ネタの羅列といった内容ですが、以下、『ACVI』を中心として『DARK SOULS』『Bloodborne』『隻狼』のネタバレが入ります。あとちょっとだけ『ELDEN RING』も。
早速ですが以下をご覧ください。
アイスワーム / サンドワーム
方や中央氷原のアイスワーム(『ACVI』)、そして方や燻りの湖に生息するカーサスのサンドワーム(『DARK SOULS 3』)です。遠方から飛び道具が発射される辺りも含めてセルフオマージュだとは思いますが、燻りワームは電気を放つのに、氷原ワームはむしろ電気に弱いのが妙に面白い。
『ACVI』と関係のないところでは、以下なんかも一例でしょうか。
ハーフライト / 葦名弦一郎
綻び刀 / 黒の不死斬り
外見もそうですが、不死斬りに似た武器を持ち(綻び刀の戦技は浮舟渡りを彷彿とさせもする)、弓矢を放ってくる様子を見るに、ハーフライトとはこの後に発売される『隻狼』のキャラクター、葦名弦一郎の予告キャラとでも言うべき位置にあったのではないかと推察します。また同じく『3』のDLCで追加された「雷の矢」など、葦名弦一郎と刃を交えたプレイヤーなら既視感があることでしょう。
雷の矢
『AC6』直近の作品だとこれとか。
トレントにもアサルト・ブースト欲しいよね
というわけで今回は『AC6』に散見するオマージュについてやっていきます。
フロム・ソフトウェアのセルフオマージュ癖については広く知られている所でしょうが、今回は伝統のムーンライトと言った古くから続くネタではなく、比較的直近の作品からのオマージュを扱います。もっと言ってしまえば「さては『ACVI』に向けて仕込んでました?」……とまでは言いませんが、同じテーマや題材を異なる作品で扱った場合の面白さのようなものを味わって頂きたい。
あと一応この記事は『ACVI』もソウルシリーズも両方プレイ済みの方に向けて書いていますが、片側だけ遊んだという方の興味をもう片側へ向けたい、そんな下心もあります。ではいきましょう。
……と思ってたんですが、書き進めている内に自論展覧会になってしまいました。つまり自分で深堀りした各作品の考察と『ACVI』を並べて「オマージュだオマージュだ」と喜んでいる図になっているんです。そういうことを踏まえて読み進めて頂けるとありがたい。
アイスワームとサンドワームに次いで目に留まったのは「指」に纏わるキャラクターたちです。『ACVI』に登場する組織「ルビコン解放戦線」、そこに属する特定のキャラクターには「指」の名が与えられていることにお気づきでしょうか。ちなみにこの記事を書いている人間は全く気付いていなくて、初見時サム・ドルマヤンをフルネームだと思っていたんですね。しかしどうも違うらしいと先日有識者に教えて頂きました。
- 親指(サム)・ドルマヤン
- 人差し指(インデックス)・ダナム
- 中指(ミドル)・フラットウェル
- 薬指(リング)・フレディ
- 小指(リトル)・ツィイー
親指を立てるジェスチャーを「サムズアップ」と言いますが、このサムだったんですね。ここまで言ってピンと来た方もいると思いますが、『DARK SOULS 3』にも指に纏わる集団が登場しました。
- 薬指のレオナール
- 中指のカーク
- 黄色指のヘイゼル
そう「ロザリアの指」です。クレイトンも「指」だったはずですが、二つ名持ちではないので除外。ここでやることでもないですが、レオナールは女神への想いから「薬指」、いつでも誰にでも「中指」を立てていそうなカーク、ヘイゼルはみかんでも食べ過ぎたのか、それぞれ理由がありそうです。
その上でもう一点ネタとして挙げたいのは、ルビコン解放戦線の「帥父」ドルマヤンがかつて「セリア」と呼ばれる変異波形と接触していた痕跡です。セリアは解放戦線ではなく、あくまでドルマヤンと結びついていただけだと思われますが、「指」に纏わる立ち位置に「セリア」と「ロザリア」という二人の人ならぬ女性がいたというのは、ちょっと面白いんじゃないでしょうか。
さてここから考察展覧会になっていきますよ。
『Bloodborne』に登場する上位者「オドン」の正体は墓所カビであると、以前書いたことがあります。
関連記事 : うごめけ! オドン(前編)
一度やったことをもう一度やるつもりはないのでざっくり行きますが、上位者という存在がどれもその内に寄生虫を住まわせるなら(ゴースの寄生虫、生きているヒモ)、或いはこの虫こそが上位者の秘密と言えるのではないか。ならば上位者に宿るものを虫に限定しなければ、例えば「カビ」などもまた、宿主に神秘を与える要因になるのかもしれません。
イズの大聖杯はさながら宇宙空間のような煌めきが漂い、故に医療協会はかの地を「宇宙に触れている」と称したようですが、その実、イズに群生する墓所カビの胞子こそが「星の煌めき」の正体だったと考えられます。そしてモンゴル語などにおいて「星」に相当する言葉に「オドン(オド、オドゥ)」があることから、つまりオドンとは「星」の輝きに似たカビの胞子そのものであり、イズの地に「星の眷属」が多く在るのは、あの場所に「星(オドン)」が蔓延している、即ち墓所カビの生える場所に偏在する意識のようなものが、「姿なきオドン」の正体なのではないかと、以前そんな事を考えたわけです。
スターゲイザー
『ACVI』のエアに似たものを感じたんですね。コーラルという物質が群生的な性質を持ち、時に意識と同等のパルスを生じさせる。自説と並べてしまうのも何ですが、オドンとエアは同じコンセプトのキャラクターである可能性を考えたんです。
エアは 621 に語り掛ける為の手段として「交信」を用いましたが、人間と上位者が通じ合う方法の一つに、或いは「交信」があったことからも、エアという変異波形とは何とも上位者的です。
話は変わりますが、思えばコーラルを使った強化人間の在り方は、血の医療のそれと似ています。コーラルそのものが血を思わせる赤色であり、「バスキュラー(血管)・プラント」で吸い上げたことも踏まえれば、まさしくコーラルとは「星の血液」だったのでしょう。
スッラが強化後に「狩り」に明け暮れるようになったことと言い、『ACVI』の強化人間を『Bloodborne』の狩人に準えるのなら、コーラル技術とは技研という名のスペース医療教会による血の医療だったのかもしれません。
- アリーナ - スッラ - ランク:15/C
- アイビスの火が起こる以前からルビコン周辺星系で活動していた老境の独立傭兵
- スッラが受けたとされる第1世代強化手術は 成功率が1割にも満たない極めて劣悪なものであり 彼の傍らには常に死の気配が漂っていた
- 手術を終えたスッラは「狩り」だけを請け負うようになり 今では雇い主さえ定かではない
なぜ兵器が人型である必要が? という問いに、『AC』はこう答えました。「人が乗っているから」だと。
- エア(アリーナ - ANALYSIS - フェイズ「δ-3」後)
- 「あなたの真似事をしてみて 気付いたことがあります。人は人と戦うための形をしている。無限の選択と淘汰を繰り返すための形状。それこそが人間の本質であり…生命進化のカギなのでしょう」
これはオマージュ云々という当記事の一応の本題とズレるのですが、同じ「人の形」をテーマの一つとして扱った作品が『隻狼(SEKIRO)』でした。
関連記事 : がんばれ右近左衛門 国盗り道中 〜倅が修羅になった理由〜
『隻狼』を面白おかしく語る上でよく槍玉に上がるのが「巨大注連縄ロボ」の存在で、曰く「考察勢も匙を投げた謎の存在」らしいです。
戦国日の本、人型兵器
とは言えそんなこともなく、個人的な考えを述べるなら、注連縄ロボとは「デカイ形代」です。これまた一度やったことなのでざっくりいきますが、形代から始まり、御霊降ろし、そして怨嗟の鬼に至るまで、『隻狼』は「人の形の器に不思議が宿る」描写を一貫した作品でした。
人の魂の器
この並びに入れてませんが、忍義手も一部とは言え「人の形」です。「人の形」というのは兎角、奇妙な力を集めやすい器のような役割を果たすのでしょうか。人から放たれた魂や怨嗟とは「元の器」に戻りたがっているのかもしれず、その小さな器が形代であり、大きなものが注連縄ロボだったわけです。
「人が乗る」「人の魂が宿る」、その為の器として「人の形」こそが最も適している。角度を変えただけで、『隻狼』も『ARMORED CORE』も同じテーマを扱った作品だったのではないか、そんなお話でした。
そろそろ最終段としますが、コーラルの影を過去作から探ってみましょう。
とっかかりは色々ありますが、まずはあの物質が持つ、宇宙空間ですら燃え盛る異常な可燃性を考えてみます。思い返すにそれは、『DARK SOULS 3』に登場した「罪の炎」が近い。
- 罪の大剣
- 遥か昔、イルシールのはずれ その地下に罪の都と消えぬ火を見出したとき
- アンドレイ - 『DARK SOULS 3』 - 罪の種火を渡した
- 「…あんた、この種火は…暗すぎる。むしろ深淵に近いものだぜ…」
「罪の炎」、或いは「罪の火」。かつて罪の都を燃やしたそれは、「消えない」という特性を持ちました。なぜならあの炎の本質は深淵(闇)であり、闇は「最初の火」が消えた後も「残り続ける」からです。罪の火とは、火の形状をした闇でした。消えない罪の炎とは、もしかすれば宇宙空間ですら燃焼するのでしょうか。
『ACVI』世界未曾有の災害として知られる「アイビスの火」ですが、それが星系に対してどの程度のダメージを及ぼしたのか、具体的な描写は無かったように思います。ただ痕跡だけが在ったのみ。小規模な再現としてウォッチポイントや坑道でコーラルが炎を噴いた様子こそ目撃しましたが、その衝撃であれらの施設が破壊されたといったこともありませんでしたよね。
考えてみれば不思議なことの一つとして、星系を飲み込む規模の災害である「アイビスの火」が熾った割に(詳細な爆心地は不明であるものの)技研都市が奇麗に残っていたのは、コーラルによる「火」は物理的な衝撃を甚大なレベルでもたらすといった現象ではなく、人、或いは生物だけを飲み込む、そういった性質のものであったのかもしれません(樹々などが吹き飛んでいた様子は描かれていましたが)。
- 罪の炎
- 巨人ヨームが薪の王となった後 罪の都は炎により滅びた
- それは空より生じ、人々だけを焼いたという
アイビスの火とは『AC』世界においての「罪の火」。であれば差し詰め技研都市とは「罪の都」だったわけです。
コーラルが生物であることと、その探究が及ぼした被害を思えば、これを「罪の火」と称するのは、余りに核心を突いているかもしれません。
さて「火」としての側面は置いておき、ここは一歩下がってその本質である「闇」に焦点を移します。ソウルシリーズも代を重ね、闇が持つ性質の幾つかを開示してくれたように思います。
闇とは凝固する性質を持ちました。闇の貴石などが例として挙がるでしょう。もっともこれは闇だけの特性ではなく、ソウル全般が持つ性質です。しかし人間だけが内に持つ人間性は、人を「石化」という末路に導きました。
闇の凝固
で、コーラルもまた凝固するわけです。ミッション「未踏領域探査」で暗い洞穴を進んでいくと、壁などにへばり付いた奇妙な結晶のようなものを目にする機会があったと思いますが、 621 がそれを気にする素振りを見せるとハンドラー・ウォルターがこう声を掛けてくれます。
- ウォルター
- 「…それが気になるか? 不活性化したコーラルに害はない …死んだ人間と同じだ」
コーラルが生物であることを考えると、不活性化し凝固したそれは「コーラルの死体」と言うべきでしょうか。
コーラルの結晶?
- 闇の貴石
- 楔石が変質化したという貴石。
- 主なき人間性に生じるもの。
主なき人間性に生じる、つまり死んだ人間から零れ落ちる貴石。不活性コーラルで武器パーツを変質強化したらコーラル属性が付与しないかな。
続きまして。
当サイトをいつも閲覧してくださっている方々には耳にタコでしょうが、深みという場所には虫が湧きます。あるいはそこを寝床にする。深みは深淵に属する場所と想像していますが、つまり闇とそのソウルは虫を育てる場所であり、餌にも成り得るということでしょう。
- 深みの加護
- 深みは本来、静謐にして神聖であり 故におぞましいものたちの寝床となる
- 蝕み
- 深みに潜む蟲たちは、小さな顎に牙を持ち 瞬く間に皮膚を裂き、肉に潜り込む
闇に涌く虫
そして闇のソウルには、それを取り込んだものを肥大化させる効能を持ちました。ソウルシリーズおなじみ、倒せば人間性を落とすネズミ。彼らは人を食べ、闇を宿したからこそ巨大に育ったわけです。奴隷騎士ゲールなども、暗い魂を血肉に取り込んだから結果としてあの巨躯を得たのでしょう。
ではコーラルによって培養されたミールワームに注目してみます。
コーラルに涌く虫
- 文書データ : 枯れゆく井戸の内容
- 残骸から抜き取った文書データ
- パイロットが非番の折に残した口述筆記だろうか
- ------------
- ガリアで見つかった井戸もじきに枯れそうだ
- コーラルは昔のように多くは採れない
- ようやく採れても企業に掠め取られる
- コーラルがなければミールワームが育たない
- 今日も子供たちが飢えて死んでいく…
未踏領域、そこはミールワームの寝床でした。コーラルを餌とした効能でしょうか、人間程度なら飲み込んでしまうほどのサイズにまで膨れ上がり、恐らくこの性質を利用してルビコニアンは食料を得ていたようです。
同じように「コーラルをナマでイッていた」ドーザーたちが巨大化していたような説明も無かったですし、可能なのであれば家畜などでも試していただろうことを考えると、コーラルの肥大化作用とは虫にのみ作用するのでしょうか。それとも試したくてもルビコン 3 の畜産は機能しなかったのでしょうか。
細かい差異はありますが、コーラルの近辺に虫が潜んでいたのは、深淵と虫の関わりを彷彿とさせる為のオマージュかと受け取っています。もっとも『AC』シリーズは結構な割合で巨大な虫と戦うゲームでもあるので、ソウルシリーズ的というよりは、「またやったかフロム」と言うべきかもしれません。
そう、余談ですが深淵と言えばマヌスなどは、その巨大な手を特徴としました(「マヌス」は「手」を意味する)。罪の都にも手の怪物がいましたが、それはあの場所が罪の火という名の深淵に飲まれたことの示唆だったように思います。深淵の傍に「手」あり。コーラルが闇であり深淵的なものなら、その恵みによって生き、それを守ろうとする解放戦線の主要メンバーに「指」の名が与えられていたのも、或いは「手」の暗示だったのでしょうか。
て。
コーラルが持つヤバい特徴の最たるものとして、「自己増殖」があります。バイオマスを分解しているならともかく、真空中の方が効率的に増えるらしいです。エネルギーどうしてんだ! ダークマターでも食ってるんでしょうか。コーラルが自己の増殖に元手を必要としないエネルギーなのだとすれば、そりゃ何を捨て置いても欲しがるわけです。
一方、闇も自己増殖します。
ソウルシリーズの人間は人間性を持ち、人であれば必ず有しているものだとすれば、人の繁殖と共に人間性は増えていくと解釈できるでしょう。
また『DARK SOULS 3』に登場した巨大蟹ですが、こいつの正体は初代『DARK SOULS』に登場したベイグラント(人間性の精霊)が実体を得たもの、だと思っています。
下賎のものは知らぬだろうが、蟹は肉よりタマゴなのだ
これも色々根拠を考えているのですが端折らせて頂くとして、小蟹の存在や腹に抱えた卵を見るに、この巨大蟹は繁殖を行うと見ていいでしょう。つまり闇はそれ自体が生物的特徴を持ち、挙句勝手に増えるんです。まあ蟹は人とか喰うと思うけど。人も人を喰うし。
またソウルが生物に宿るものなら、通常のソウルもまた増殖すると見ていいかもしれませんが、「最初の火」と共にソウルは失せてしまうわけですから、やはり火が消えた後も残り続け、むしろ増えさえする闇とは、コーラル的だと言えるんじゃないでしょうか。
コーラルが持つ「一ヶ所に集まろうとする性質」ですが、闇にも似た性質があります。『DARK SOULS 3』の DLC では、世界中が吹き溜まりという一か所目掛けて集い、飲み込まれていきました。吹き溜まりの最奥には人の世を引き寄せる大きな何かがあるのです。輪の都、その更に先。そう、「暗い魂(ダークソウル)」です。
- 人の澱み
- 人の内にある最も重いもの。
- 人の澱み。
- それはどんな深みにも沈み故にいつか、世界の枷になるという。
人間性、及び闇には独特の「重さ」があり、それを攻撃に転じスタミナ削りなどに利用されてきたわけですが、その重力にも似た「重さ」によって互いに引き寄せあい、必然的に最も大きな闇である「ダークソウル」に飲み込まれていく、そんな背景だったと考えます。神々が「火の封」とやらを施したためにその性質は一時失われていたのですが、火の時代が終わった事でその引力を取り戻します。そうして一切の枷を外した「暗い魂」目掛けて、人々や、人々が暮らした土地は強力に引き寄せられていった、それが「吹き溜まり」の光景の意味なのでしょう。
その少し前の時代、まだ闇の誘因力が幾らか弱い時期、代々「人間」であったという薪の王たちの強大な闇は先んじて引き寄せられていきました。ロスリック国に薪の王たちの故郷が流れ着いていったのは、あの国が輪の都の直上辺りに位置していたからであり、ロスリック国はきっと闇の引力を利用することで各地を征していたんです。
闇は一ヶ所に集まろうとするのです。コーラルのように。或いはコーラルが、闇のように。
そういえばコーラルリリース後、コーラルは星々へと行き渡ったわけですが、コーラルの「一つになろうとする」性質がそのまま残っているとなれば、天体のバランスが崩れて星同士が引き寄せられていつか衝突したりしないんでしょうか。そうなるとビッグバンレベルの「火」が起きるかそうでなければ滅茶苦茶巨大なコーラルが生まれて更に大きなスーパー・コーラルリリースが起きてコーラルは更に増殖を繰り返してそしてまた、うわあああああああ
さて虫を育て、肥大化作用を持ち、時に点火し、一か所に集まろうとする。考察をベースにしていることを忘れなければ、コーラルとは非常に「闇」的です。そして取り込んだものを強化させる点では「血の医療」的でもあります。
再三申し上げますが、この記事は「『ACVI』と『DARK SOULS』が繋がっている」などといった話がしたいのではないです。散々色んなシリーズを繋げてきた当サイトなのであんまり説得力は無いと思いますが、これは本当にそう。まずはそこを信じて欲しい。ホントホント。マジで。
思うにこれらは長大なセルフオマージュでしかないのです。コーラルという「ソウルシリーズに出てくるような」オカルト物質を、『アーマード・コア』という SF で扱えばどうなるのか。『ACVI』においてそんなコンセプトが根底にあったんじゃないかと、そう推測するばかりでございます。
更に言えば多くのネタが『ACVI』に向けての事前準備だったと仮定するなら、もしかすると『ACVI』の内容も今後の新作に組み込まれている可能性だってあるでしょう。記事の本意の話に戻りますが、今回の記事のようにフロム製ファンタジーとフロム製 SF は相補的に考え、愉しむことが可能です。『ACVI』が初のフロムゲーというプレイヤーに、過去作や今後の新作にも手を出して頂くことを祈り、今回は仕舞いと致します。
失礼、冒頭で紹介しようと思っていたことがすっぽ抜けていました。
倒れ、継がれる意志。
(画像 2 枚目の彼はこの時点でまだ死んでませんが)力尽きた際の姿勢が似ているくらいの意味でX / Twitterに投げたらそれなりに反応がありました。ただ正直死ぬときって大体こんな姿勢で死ぬと思うので、自分で言っておいて何ですがオマージュかどうかは微妙だなと思っています。
しかしナイトフォール(これは偽装のようでもありましたが)からは名義と可能性を、そして上級騎士からはエストと、或いは使命を。「受け継ぐ」ところから物語が始まるのは、過去に倣った点なのかなと。
ちなみにこの絵面は『Demon's Souls』まで遡ることが出来ます。
死んでいる。
ゲームの冒頭も冒頭、「神殿までの道」の階段中で力尽きたフリューテッドの騎士です。
もちろん装備など厳密には異なるので断定はしないのですが、パッケージに描かれたキャラクターは主人公と見せかけ、その実道半ばで力尽きた「誰か」でした。『ACVI』においてもナイトフォールはパッケージ機体であっても主人公そのものではありませんでしたし、ソウルシリーズもパッケージ装備はどれも遺体から剥ぎ取るか、対象を倒して手に入れるものでした。
全て「可能性」の物語だったと思うのです。役割があり、決意があり、しかしそれを果たすことは出来なかった。けれど、誰かが代わりに旅を継いでくれるかもしれない。誰が主人公であるかは重要ではなく、誰かがきっと主人公(イレギュラー)であってくれる。人間という種が宿す「可能性」を描いたものが、『アーマード・コア』であり、ソウルシリーズでした。
申し訳ございません、もう一つ書き忘れていました。以下『ELDEN RING』より。
- 坩堝の諸相シリーズ
- それは、黄金樹の原初たる生命の力
- 坩堝の諸相のひとつである
- かつて、生命は混じり合っていた
関連記事 : 黄金仮説
かつて生命は「坩堝(るつぼ)」という形で混じり合っていました。やがて大いなる意志の働きにより一本の木が聳え、深く深く張った根より「坩堝」は吸い上げられていきます。そうして生命は樹より生まれ、また樹へと回帰し、そしてまた生まれてくる……このような循環を支えるルールこそ、即ち「黄金律」でした。
黄金樹とは狭間の地のバスキュラー・プラント(植物)だったんです。
バスキュラー・プラント(植物 / 装置)
『ELDEN RING』はジョージ・R・R・マーティン氏とコラボレーションしていることで話題にはなりましたが、「だからこれまでのフロムゲーの文脈で考察するのは意味がない」といった扱い方もされていました。実際は「ジョージ・R・R・マーティン氏が神話を書き、宮崎ディレクターがメインストーリーを書いた」らしいので無意味ってことも無いのですが、黄金樹自体がバスキュラー・プラントを意識した(逆も然り)ものだとすれば、『ELDEN RING』はやはりフロムゲーという括りで考えた方が色々捗りそうではあります。もちろんジョージ氏の著作からのパロディなども散見するので、両輪重要になってくることでしょうけども。
何が言いたいかと言えば、やはり『ACVI』と『ELDEN RING』、双方が双方にとっての相補的な TIPS として機能すると期待し、両方やっておくべきなんじゃあないですかってことです。
火を点けて、王となれ。