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ロイドはおまえだ

はじめに

お久しぶりです。というのもこちらの体感での話なのですが、今回はソウルシリーズ皆勤賞、主神ロイドの正体についてです。こいつ、名前だけの存在だけでなく、ちゃんと姿かたちを持って『3』に登場していました。いやあまさかあいつがロイドだったなんて。

また、もしかしたらこの記事はこれを読んでからの方がいいかもしれませんが、読まなくてもいいです。

主神ロイドとは

ロイドの護符
主神ロイドの騎士が不死人を狩るときの道具 効果範囲内でエストによる回復をできなくする
人の世界では、不死人は呪われた化け物であり 不死を狩るロイドの騎士は英雄ですらある
その英雄は、この祝福された護符により 不死の回復だけを封じ、正々堂々と戦うのだ

兎にも角にもまずはこれ。ぶち当てた不死のエスト回復を一定時間封じ、またミミックを眠らせて安心安全のアイテム回収が可能になる優れもの。数多くのプレイヤーが正々堂々の戦いに臨むためこれを投げつけたことでしょう。こっちが当たってやる気はねえけどなッ!

そんな感じで、名前しか出ていないはずなのにこのアイテムのせいで存在感だけはありまくるロイドっつー神。お前は一体何なんだ。

あなたが神か

そもそもおかしな話だったんです。最初の火から王のソウルを見出した一人がグウィンであり、主神と呼ばれるべき存在がいるなら彼であるはず。というか闇から生じた幾匹かの内一人であるグウィンの「叔父」とは? しかしアノールの神々を祀る白教ではロイドは最高位の神として扱われ、ロイドの護符という重要アイテムにもきっちり痕跡を残している。強烈な存在感を放ちながらも、そうして存在していること自体が怪しいという異彩のキャラクターです。しかし『3』にこんな記述があります。

ロイドの剣の指輪 / - 盾の指輪
白教に仕える騎士に与えられる指輪
だが白教のロイド信仰は、今や廃れて久しい
カリムの司祭たちは声高に主張する
ロイドは傍系にすぎず、主神を僭称したのだと

こう考えることが最も自然ですね。ロイドとかいう訳の分からない神が勝手に主神を自称したのだと。或いは事実に関係なく、白教というあくまで人間が作った(かもしれない)宗教団体が、自分たちにとって都合の良い信仰対象を作り上げたと考えれば辻褄は合ってしまいます。ソウルシリーズの聖職者は胡散臭い奴らですし、どうせそんなオチでしょうよ。……と、考えていました。ある一つのことを知るまでは。

皆さま、「ロイド」という言葉の意味をご存知でしょうか。

以前こういった記事を書かせて頂きました。顔料を受け取ったお嬢様はプレイヤーに名を尋ねます。答えなければ灰の英雄であることにちなみ、絵画に「灰」の名をつけるのです。絵画世界「灰」では冷たく差異の無い世界が創造されます。これこそが「灰の時代」の始まりであり、『ダークソウル』とはかつて「外側の世界」で描かれた一枚の絵画世界だったという、シリーズ閉幕と開幕を兼ねたオチだった訳です。

そして絵画「ダークソウル」にはダークソウル(暗い魂)とゲールの血による顔料が用いられており、それを使って描かれた絵画で生まれた生命は、全てゲールの子と言えるのではないか、そんなことも述べました。特に『DESIGN WORKS』を見る限り、頭巾を外したゲールの顔がグウィンに似ていることから、グウィン王は特にゲールの血を色濃く受け継いだ「生まれ変わり」なのではないか、そんなことも書きました。絵描きの少女はずっと「火」を見たがっており、そしてアリアンデルから生じた火を見た彼女は、暗い灰の世界に「火」を描き、それが「最初の火」の始まりなのだとも補足記事で書きました。

だとして、そんな「外側の事実」が何らかの形で絵画の中に伝えられていたのだと考えると、ロイドという存在が途端に輪郭を帯びるのです。絵画創世に関わる人物には、「世界の原料」となったゲールと、「火の原案」となったアリアンデル、そして描いた本人である少女の他にもう一人います。素材を少女へと提供した灰の英雄です。

皆さま、「ロイド」という言葉の意味をご存知でしょうか。ウェールズ語で「グウィン(Gwyn)」が「白」を意味するように、「ロイド(Lloyd)」もまたある色を表します。「灰」です。

最初の火より王のソウルを見出した白き神々の父グウィン、そんな彼を差し置き、主神に座する謎の存在ロイド。しかし彼(彼女)は人が作り上げた偶像でも、何者かが僭称した訳でもありません。ある意味で実在しないその神は、「外側」において「世界の材料を用意した者」である訳です。世界という赤子の母が絵描きであるなら、種子を用意した灰は父。創世に関わるその人物を、「生み出された者たち」が主神と仰ぐことに何の不備があるでしょうか。

不死狩りの業を用いて英雄とされたロイドの騎士たち。彼らが神と仰ぐ者は、遠い未来の不死でした。

ロイドとは、あなたのことだったのです。

追記 : ロイドはおまえじゃなくておまえかもしれない(2018.08.26)

と、いうことなんですが、別の解釈もあります。最近メールや Twitter でお問い合わせを頂くことも多いので追記。記事としての纏まりを優先して言い切ってしまったのですが、もしかすればロイドとは『3』主人公ではないかもしれません。

白教の司祭の指輪
グウィン王の叔父、主神ロイドの使徒である白教の高司祭に与えられる聖なる指輪

世界絵画説に基づきますが、『ダークソウル』の世界がゲール爺の血を顔料として描かれたのだとして、その血から生じたのがグウィンを始めとする最初の王たち。だとするとグウィンに取っての「叔父」とは誰か。

世界の原材料となったゲール爺こそがグウィンの血縁であり、主神ロイドである。

という解釈が可能です。正直個人的にはこちらの解釈も魅力的で、かつゲール戦 BGM で「Allfather Lloyd」と、なぜかロイドの名が連呼されている(らしい)ことにも一本筋が通るような気がします。

ただですねえ、じゃあゲール爺に「灰(ロイド)」の名が与えられるのはなぜか、という理由付けがどうしても出来なかったんですね。「灰」と呼び表すのならば、やはり灰の英雄こそ相応しいのではないかと。「前作主人公が続編の重要ポジションにいる」のが大好きな人間としまして、正直「そういうのが好きから」という理由で主人公をロイドの座に据えてしまいました。なのであくまで当サイトの主張は変わりませんが、もちろん皆さまが納得いく形で考察して頂ければなと思う次第でございます。もしかしたらロイドの正体はペトルスかもしれない。

……いま思いつきましたが、灰の時代の礎となったからこそ、ゲール爺が「灰(ロイド)」の名を冠したという考え方も出来ますね。色々考えられて楽しい。

最後に

短い記事ですが如何でしたでしょうか。実はまだこの記事を書く気はなかった(別記事の後でいいかなと考えていた)のですが、なんと先日海外の方からメールを頂いてしまいましてですね。今回の記事と全て同一の内容ではないのですが、刺激を受けた結果ふわふわ泳がせておいた考えが固まったんですね。ちなみにその方の考察はこのページよりも深いところまで考えられていて唸らされたのですが、その部分は当サイト管理人が自力で辿り着いた結論ではないので引用は控えました。別の機会にメールの内容を一部転載させて頂くことも思案しておりますが、どうしようかな。というのはひとまず置いておいて、何よりもその方、当サイトを読んで考察が定まったとのことで、ついつい嬉しくなってしまい筆を執った次第なのです。拙い文章と内容ではありますが、当サイトは皆さまのご助力によって成り立っております。どうぞこれからも宜しくお願い申し上げます。

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