今回は短いです。
『ダークソウル 3』には「遺灰」というアイテムがあります。これを祭祀場のおばあちゃんにプレゼントすることで、おばあちゃんは遺灰に由来するアイテムを売り出してくれるようになるのですが、内一つに「糞塗れの遺灰」が存在します。
- 糞塗れの遺灰
- 糞に塗れた不潔な遺灰
- 祭祀場の侍女は、新たな品を用立てるだろうか?
- きっと大好きだったのだろう
この「きっと大好きだったのだろう」という一文、そして発見した場所が下水だったのもあって、この遺灰の主が「大好きなうんこを漁りながら死んだ」みたいな風に受け取っている方が少なからずいると思われるのですが、今回はこの勘違いを正したい。
当サイトは基本的に「こんなこと思いついたけどどうでしょう」というスタンスですし、異なる意見の方に「間違ってる」などとは絶対に主張しないようにしているのですが、この「糞塗れの遺灰」に関してだけは「違う! そうじゃない!」という強い意志を示したい。だってこのままではあまりに寂しいじゃないですか。この遺灰の主は糞が好きだったんじゃないんです。その人は、糞に塗れても、幸せだったんです。遅ればせながら、この記事を弔いとしたい。
遺灰は祭祀場の品ぞろえを増やすアイテムであると同時に、遺灰の主に対して思いを馳せる為のアイテムでもあります。そうする事で遺灰のテキストや、増えるラインナップの内容から、その遺灰の正体を察せる事もあります。例えば「東人の遺灰」。
- 東人の遺灰
- 東の地からきた武具商人の遺灰
- 祭祀場の侍女が、新たな品を用立てるだろう
- 男は狩猟団の長でもあり 武具に魅入られていたという
テキストの内容に加え、この遺灰で増える商品に「物干し竿」と「木目の指輪」があることから、遺灰の主は『1』の NPC 「東のシバ」である事が推測できます。思えば過去、シバは「デーモンの槍」を売り出していたので、アノール・ロンドにも辿り着いていたのでしょうか。『3』で同エリアに差し掛かる場所で遺体となっていた辺り、生前と似た目的・ルートで武具集めなどに勤しんでいたのかもしれません。
不死は死んでも起き上がる存在ですが、それを繰り返せばやがて動かなくなります。しかし火の陰りと共に響く鐘が、動かない筈の不死を再び稼働させます。それは「火の無い灰」と呼ばれ、それ故に火を求めて歩き出すようなのですが、むしろ生前の名残や執着に惹かれて動いているように思えるのですね。
だから「糞塗れの遺灰」の主も同じだったと思うのです。かつて唯の不死だった頃の行いを繰り返していた。なぜならその遺灰の方にとって、それこそが生きる目的だったからです。
「糞塗れの遺灰」によって増える商品は以下。
- 青虫の丸薬
- 毒紫の花苔玉
- 糞団子
- 草付き糞団子
遺灰の主は灰として蘇る前も商人でした。売っていたものは以下。
- 血赤の苔玉
- 毒紫の苔玉
- 毒紫の花苔玉
- 毒投げナイフ
- 糞団子
- 誘い頭蓋
- 炭松脂
- 一時の呪い
- 腐れ松脂
- 帰還の骨片
- 七色石
- 人間性
- 解呪石
矢などは省略。
相変わらずの「苔玉」と「糞」。下水には汚物をはじめ様々なものが流れ着くので、その不死はそれらを漁って売りさばいていたんですね。
その不死は言いました。「生きている間はロクなことがなかった」「今が一番幸せ」だと。更に水も豊富で鉄格子もあって居心地が良さげなので、不死となってロードランに追いやられる以前はどのような扱いを受けていたかが想像に難くない。だからその場所がどれほど不潔だろうとも、遺灰の方はそうしている時が最も幸せだったのでしょう。故に、「灰」として起き上がった後も、「彼女」はそれを続けようとしたんです。そうしている瞬間こそが、彼女にとっての「火」だったのかもしれない。
彼女は糞が好きだったんじゃない。糞に塗れようとも、そうして生きている瞬間こそが。
「あたしゃアンタのこと好きだよ」
きっと大好きだったんでしょう。