ACID BAKERY

ABout | Blotter | Text | Illust

『エルデンリング』が出るデンリング

発売日が決まりましたね。ということで発売前にしか出来ない最高の遊び「展開を予想する」に興じていくこととしましょう。皆さまもやるんですよ。なぜやらないんだい? これは醍醐味ですよ。考察なんてものは所詮、正解・不正解が分からないままですが、発売前の予想というものには基本的に答えが出ます。出てくれるんです。「外すことができる」んですよ。分かったならやれ。やる。

あらすじを読む

公式サイトで紹介されているプロローグは以下の通りです。

永遠の女王マリカを戴く狭間の地で 黄金樹の根源たる、エルデンリングが砕けた

マリカの血を受けた子供たち、デミゴッドたちは エルデンリングの破片たる大ルーンを手にし その力に狂い、歪み、破砕戦争を起こし…

大いなる意志に見捨てられた

そして、かつて瞳から黄金の祝福を失い 狭間の地を追われた褪せ人たちの元に 祝福の導きがもたらされる

祝福なく、死にきれぬ死者たちよ

導きに従い、霧の海の先、狭間の地に向かい エルデンリングに見えよ

そして、エルデの王となるがよい

合わせて読みたいのがこちら。

ファミ通インタビューは 6 月 17 日発売の週刊ファミ通 2021 年 7 月 1 日号の特集に記載されているものとほぼほぼ同じですが、ゲームの情報自体は他にもお出しされているので読むとテンションが上がりますよ。

さてプロローグを読む限りですが、非常に、非常に「DARK SOULS 的」です。「エルデンリング」という大いなる存在を『DARK SOULS』における「はじまりの火」になぞらえるなら、欠片である「大ルーン」には「王のソウル」を、そしてデミゴッドにはグウィンたち神々を当てはめることができるでしょう。古竜狩りの代わりに破砕戦争という巨大な争いがあった点を除けば、その導入は「いつものやつ」と言っていいほどに安心感と祝福に満ち溢れています。

だとすればプロローグ以降の予想も立てやすい。『DARK SOULS』は陰った火を再び灯す物語でした。かつてはじまりの火からその大きな断片を取り出した王たちを狩り、それら大いなるソウルを合わせ、以て薪とし、器たる不死人は王となる。『ELDEN RING』はどうでしょう。大ルーンが壊されたエルデンリングの破片であり、デミゴッドたちがそれぞれを所有するのなら、彼らが持つ破片を収集した後、褪せ人の下でエルデンリングは復元される。2 作の粗筋が対応するなら、そんな流れになるのではないでしょうか。

勘違いしないで頂きたいのは、だからソウルシリーズと『ELDEN RING』が繋がっているという話がしたいのでも、ましてやフロムがワンパターンだなんてことが言いたいわけでもないです。大いなる目的の為に、散り散りになったキーアイテムやキャラクターを求めて旅に出る、なんてのはゲームの導入としてオーソドックスなものですし、元来フロム・ソフトウェアは、オーソドックスな素材や題材を好むチームであるという認識です。なのでここに関しては特に言うことはなく、むしろ「よッ! 待ってました!」の精神を大事にしていきたいところ。

そんなわけでですね。上記インタビューにもある通り、ジョージ・R・R・マーティン氏は、元々存在した「DARK SOULS 的」なストーリーライン、その土台部分に対してしっかりとした肉を与える役割を担ってくださったということになります。例えば結局描かれなかったグウィンやイザリスたちの詳細なバッグボーンのようなものが、『EDLDEN RING』では理解できる表現で開示される可能性があるわけです。今作はドラマや映画化などの噂もあるようですし、もしかすればデミゴッドたちの過去や破砕戦争についてなどはそちらで描かれるかも、と期待して良いんじゃないでしょうか。そして、つまるところジョージ・R・R・マーティン氏が、本編の、つまりゲームプレイ上のシナリオそのものを直接構築したわけでないのなら、『ELDEN RING』が含む「DARK SOUL 的」な顛末を、『DARK SOUL』を用いることで予想できるのではないか、というのが今回やりたいこと。

なので。ここからが「予想」です。

何をしてくるのか

どんな物語になるのだろうかという部分についてはおおよそ前述した通りの流れを想像しているのですが、期待を膨らませているのはこの後。こんなことを仕掛けてくるんじゃないかなと予想してます。

といいつつ『DARK SOULS』の話を始めてしまうんですが、皆様は上級騎士オスカーに纏わる没イベントをご存知でしょうか。認知度があるようでいて名前までは知られていなかったりする、オスカーとは彼のこと。

オスカー
オスカー?

アストラの上級騎士オスカー / ?

本編では志半ば、物語の冒頭で息絶えてしまう彼ですが、実は開発段階においてはラスボス候補であったようです。詳しくはおググリ頂くとして、かいつまんで言うなら、主人公が薪の王ルートを選べばオスカーは闇の王として、逆に主人公が闇の王を選べば彼はそれを阻む者として立ち塞がるといった、超重要な役回りだったようなのです。

終ぞ実装されなかったその要素ですが、心残りだったのか、続編にその名残のようなものが確認できます。例えば初代には「人間性の双子」なんてアイテムがありましたが、振り返ってみれば主人公とオスカーの「分かち難い関係性」を暗示していたのではないかと推測でき、そしてその暗示は『DARK SOULS 3』において「双王子のソウル」という形で回収されています。「そのもの」ではありませんが、人間性の双子に元々込められていたギミックをどうにか形にしたかったのでしょうか。

人間性の双子
双王子のソウル

人間性の「双子」 / 「双王子」のソウル

またアストラのアンリもその一端でしょうか。彼、或いは彼女は、主人公の性別が男性であれば「彼女」となり、女性であれば「彼」となる特異なキャラクターでした。ルートによっては伴侶となるその結びつきは、或いは「双子」以上に強固と言えるでしょう。つまりアンリとは主人公が選ばなかった道を行く、もしくはあり得たかもしれない可能性を埋める、かつてオスカーが期待されていた役割を果たす為に登場した「上級騎士」だったわけです。

このようにソウルシリーズのみならず、ゲーム開発においては度々起こる「没」という現象ですが、フロムゲーにおいては後続作品で何とか「再トライ」しようとした痕跡が発見できるんですね。

で、これが何だというのか。

予想します。『ELDEN RING』では、かつて『DARK SOULS』で達成できなかったことを実現しようとしているのではないか。即ちルート取りと選択によってラスボスが変化するという展開をもう一度試みているのではないか、と思いました。そのための「DARK SOULS 的」な導入である……というのは言い過ぎかもしれませんが。

もちろん選択やフラグの立て方如何でラスボスが変わる展開は既に後発の何作かで実装してはいますが、上級騎士オスカーのように主人公の行動一つで思想や立場そのものが別物に変異してしまう「因縁の相手」という意味では未だ実現していない。宮崎社長が率いたフロム・ソフトウェア 10 年の集大成であるという『ELDEN RING』だからこそ、過去断念したことに再トライしてくるのではないかと踏んだわけです。

インタビュー曰く『ELDEN RING』は攻略上の自由度がかなり広く取られているらしく、ボスを倒す順番もプレイヤーに委ねられているようです。そしてマルチエンド。「オープンフィールド」というものについては実際に触ってみなければ理解できませんが、『Demon's Souls』のエリア選択制を軸に、それなりに広いフィールド探索を楽しめる……要は『DARK SOULS 2』を拡張したような手触りだと考えればいいのでしょうか。

褪せ人たちが祝福に導かれ、誰もがエルデの王を目指すのであれば、それは玉座争奪戦の様相を呈するのかもしれません。ならばラスボスは主人公と目的を競合させた褪せ人なのでしょうか。王のソウルや王の薪よろしく、デミゴッドが有する「大ルーン」を収集していくとして、ただしその順番は問わないというのなら、いっそのこと攻略順次第でラスボスとなる褪せ人が変わるというのはどうでしょう。……さすがにないかな。まあ言う分にはタダなので、ここで期待できるだけ期待してしまうことにします。予想が当たるかどうかはともかく、期待を下回られることにはならないでしょうから。

いやもう予想とかどうでもいいわ。超ワクワクする。

余談

最後に。

『ELDEN RING』と過去作が繋がっているとは言ってません! ふざけるな! とかお利口なことを言いましたが、実はそんな意味の記事は既に書いてます。

関連記事 : 『エルデンリング』の出る前に

そんな記事の内容にちょいと触れることになるので、受け入れられる人はこのまま読んで頂き、苦手な方は体調を悪くしながら読んで欲しいのですが、キーになるのではないかと指摘した「EL(腕)」が、ゲームプレイトレイラーでは殊更強調されていたように感じられます。

おてて
おててて
おてててて
おててててて

おてての王となるがよい。

もしも「エル(腕)」が「エルデンリング」の力そのものか、或いはその欠片なのだと解釈したとして、「腕」の者たちこそ大ルーンを所有するデミゴッド、或いはその力に纏わる存在なのかもしれません。

そして「腕」はかねてより色濃い人間性の象徴であり、欲望の形。やはり何かあるのでしょうか。もっとも先に述べた通り、フロムはオーソドックスな題材を好む会社なので、「腕」もその一つに過ぎず、それ故に表現が被ることもあるでしょう。しかし当サイトとしては「何か」を期待して止みません。

『ELDEN RING』、2022 年 1 月 21 日発売。

お互い、頑張って生き残りましょう。エルデの王となるがよい。

スポンサーリンク