ジョジョが待つ屋敷へ帰還するディオだが、既に企みは露呈し警察にも囲まれていた。彼はついに諦める……「人間」であることを。石仮面を自らに装着したディオは養父ジョージにナイフを突き立て、その血を仮面へ吸わせた。光が放たれる。
大分先の話になりますが、3部のDIOも「ジョースターの血」によって一段階上に押し上げられるんですよね。ジョースターとディオの両者は徹底してそういう運命に設計されてるんでしょう。
ジョースター卿は知っていた。ディオの父が働いた悪事を。その上でディオを引き取ったのだ。最後まで人の善性を信じた父の意志は世代を超えて受け継がれるのだろう。だがその時、銃弾に貫かれたはずのディオが復活した。
獄中、ジョースター卿の善意を理解できなかったダリオ。一方で「ディオの亡骸を父親(ダリオ)の傍に葬ってやれ」と語るジョースター卿。ここら辺、本当に全くと言っていいほど善人と悪人はお互いの心を理解できないんだなという哀しさがある。
「石仮面」と「ジョースターの血」によって不死身の怪物と化したディオ。人間を超越するパワーで警官たちを虐殺していく。恐怖に圧倒されながらも、ジョジョは自らを奮い立たせ、怪物へ立ち向かう決意をするのだった。
人体を容易に破壊するパワー。血を吸った人間をゾンビに変えてしまう能力。まさしく伝承ままの吸血鬼となったディオがジョジョたちを襲う。圧倒的な怪物を前に、しかしジョジョは炎を以て立ち向かうのだった。
「『策』ではないッ。『勇気』だ!!」
『ジョジョ』で一番好きな場面、台詞がこれなんですよね。どれほど策を弄そうと人には限界があるとしたディオに対する最高の反論。お前は人を超えたのではなく、ただ「諦めただけなのだ」と。全てここで完結していると言っても良いくらい大好きなシーン。
ジョジョがディオへ放った火からジョースター邸が燃えていく。体を焼かれようとものともしない怪物にジョジョは最後の手段を決行する。彼の青春は常にディオと共にあった。だから決着をつけるため、燃える館へと共に飛び込むのだ。
ディオの体を抱き猛火へと身を投じていくジョジョ。一瞬の落下中に行われた幾重の攻防の果て、ジョースター家の守護神「慈愛の女神像」は怪物の体を貫いた。かくして館は全焼し、ディオは炎に消え、ジョジョは脱出を果たした。人間の勝利である。
吸血鬼となってテンションが上がったディオのこの台詞、3部でも言ってるんですよね。「不死身ッ!! 不老不死ッ! フフフフフフフフッ スタンドパワーッ!」 荒木先生がちゃんと過去を意識して台詞を考えていることが良く分かるくだり。
ジョナサンに勝っただけでこの自惚れ。ディオのジョナサンへの評価が窺える。
決着のアイテム「慈愛の女神像」。それがジョースター家の守護神とまで言うなら普通は前振りとして登場しても良さそうなものですが、この像この時初めて出てきました。この時代の少年漫画っぽいと言うべきか、勢いを味方につける圧倒的漫画力というべきか。
(などと節穴発言してますが、像自体は二話目の冒頭には既に登場していますね。やっぱり読み返すと良いことがある。生まれ故郷はいい……ついてる)
ジョジョの見舞いへ出向き無事門前払いを喰らったスピードワゴン。仕方なく不法侵入した彼が見たのは、ジョジョを献身的に看護するエリナだった。その頃、焼け落ちたジョースター邸から這い出る者が一人。戦いは終わっていなかったのだ。
「スピードワゴンはクールに去るぜ」
ロンドンを恐怖に染めたジャック・ザ・リパー。殺人鬼は、しかし版図を広げんとするディオに取り込まれて闇へと消えた。一方束の間の平和を享受するジョジョの前に一人の男が現れる。男は石仮面を、そして戦い方を知っていた。
座ったままの姿勢で跳躍と言えばこの回。」
奇人ツェペリには不思議な力があった。「波紋」と呼ばれるその「技術」は石仮面を打倒するものだという。ディオは生きている。ジョジョには波紋を習得する運命にあるのだ。そしてツェペリはジョジョに眠る恐るべき潜在能力を予期していた。
石仮面は若かりしツェペリが発掘したものだった。アステカを滅ぼした仮面はツェペリを、そしてジョースターを巻き込んだ。奇妙な因縁の中、ツェペリは対吸血鬼戦法をジョジョへと伝授する。才能を開花させ始めるジョジョと怪物どもの戦いが始まる。