風の騎士たちの町(ウインドナイツロット)。その古き町は吸血鬼ディオの拠点となっていた。噂を聞きつけて町へ向かうジョースター御一行様。しかし何もせず手をこまねく怪物たちではなかった。ジャック・ザ・リパーが一行の行く手を阻む。
「これからこの町は消失するッ!!」
日の光の届かないトンネルで襲来したジャック・ザ・リパー。ディオ以上の異常性を持つこの強敵だが、人間には勇気という力がある。波紋の源は勇気。一撃をジャックに見舞ったツェペリは、とどめをジョジョに譲るのだった。
ツェペリが説く「戦い思考」ですが、『SBR』ジャイロが説く「LESSON」はこのくだりのリフレインなのでしょうね。
ツェペリからの指令――「ワインを一滴も零さずにジャックを倒せ」。ただでさえ不利な状況、対象は強敵。その上での縛りであった。頷くジョジョは暗闇の中、しかしワインの意味を理解した。ピンチの中に勝機を見出し、ジョジョは勝利する。
サメに勝つために自らの足を切り落としたバイキングの話は、『SBR』で勝利のために自らの足を切り落とした Dio に繋がる……かもしれない。
ウインドナイツ・ロットへ到着する一行。怨敵の存在を確信するジョジョの元を一人の盗人が横切った。その少年を追った先、そこは不気味な墓地。そして一行は自分たちが誘い出されたことを知る。湧き出すゾンビ。そして君臨するのはディオである。
水面を歩くための「弾く波紋」。
ゾンビの群を掻き分ける。まずはツェペリがディオの眼前へと立った。波紋がディオへと流し……込まれない。波紋と血流の関連を見抜いたディオは、ツェペリの腕を凍らせたのだ。波紋を封じられあわや、ジョジョがディオと対峙する。
ジョジョ、ツェペリVS.ディオ。二人の波紋戦士は、しかしたった一人の吸血鬼により圧倒される。自ら手を下すまでもないと見たディオは蘇らせた古き二人の騎士によってジョジョを襲わせる。傷ついたツェペリは回復を間に合わせることができるのか。
「『波紋』? 『呼吸法』だと? フーフー吹くなら……このおれのためにファンファーレでも吹いてるのが似あっているぞッ!」
決着のアイテム「慈愛の女神像」。それがジョースター家の守護神とまで言うなら普通は前振りとして登場しても良さそうなものですが、この像この時初めて出てきました。この時代の少年漫画っぽいと言うべきか、勢いを味方につける圧倒的漫画力というべきか。
タルカスとブラフォード。哀しき逸話を持つ二人の騎士。それをディオは下僕としたのだった。蘇った彼らは妄執に狂い、怨念だけが暴走していた。ジョジョと古騎士たちの戦いが始まる。
史上 5 人のみの「77 輝輪の勇者」に名を連ねる黒騎士ブラフォード。伝説がジョジョに迫る。不利な水中戦に追い込まれるジョジョであったが、死中に活を見出すのが彼という男。呼吸不能の水中での呼吸が波紋を生み、黒騎士を貫いた。
ここら辺の「名前しか登場しないキャラ」感、ちょっとソウルシリーズっぽい。ちなみに PS2 の『ファントムブラッド』では前 3 騎士が登場します。
作品タイトルの割にそんなに冒険してないなという感覚が「冒険」というワードをチョイスさせたのでしょうが、おかげで名文になってると思うのです。
黒騎士を伝った波紋は、しかし浅手に終わった。ブラフォードはジョジョを認め有利不利の無い地上戦を申し込む。互いの死力を尽くしあい、ついに山吹き色の波紋疾走(サンライトイエロー オーバードライブ)がブラフォードを打ち砕く。
こういう大見栄を真面目にやるのが少年漫画ってやつだと思う。
波紋によって崩れ去ろうとする黒騎士。しかし波紋は彼の魂に眠る人間性を呼び起こしてもいた。ブラフォードはゾンビとしてではなく英雄として瞑るのだ。そこへ襲い来るタルカス。残る古騎士にツェペリが対峙する。
死の間際、信用した相手に裏切られ死んだ騎士らはゾンビとなって蘇りました。すべてを憎むしか無かった彼ですが、ブラフォードが剣を止めることを信用して命を預けたジョナサンにより「かつて信じた」騎士の生きざまを肯定され、また自身が人間であることを思い出したのだと思います。