31 話 - 40 話
第 31 話「騎士たちの遺跡の巻」
騒ぎを聞きつけやってきた少年たちをタルカスが襲う。寸前で救出するジョジョたちだが、タルカスの膂力は崖をも砕くほどだった。ひと先ずは逃げる。そう決めたジョジョたちは波紋の力で崖を下る。そこは遺跡、かつての騎士の修練場である。
第 32 話「双首竜の間の巻」
ツェペリが語る「波紋」との出会い。それは若かりし頃チベットにて――だが回想も束の間、一行の下へタルカスが襲来する。もはや闘争本能で動くタルカスを迎え撃つため、ジョジョは遺跡へと足を踏み入れる。だがそこには罠が待ち受け……。
第 33 話「あしたの勇気の巻」
古き騎士たちの修練場「双首竜の間」。閉鎖された空間で苦戦を強いられるジョジョを救出すべく足掻くツェペリたちだが、その手は届かない。気づけば少年ポコは動いていた。自分にしかできないことをする為に。そして扉は開かれた。
注釈
- 伝導性が高いから金属に接触していると流れちゃったり、生体に干渉する力だから固いものは壊せなかったりと、どんどん弱点が露見していく波紋。ここら辺、戦闘用のテクニックじゃないものを無理くり対吸血鬼に流用してるんだって感じがして良い。
- 普通ならポコの蛮行を止められるであろうツェペリさんですが、タルカスの侵入跡を目指してクライミングの体勢に入っていたが故に行動が遅れてしまったってなってるの芸細。
- 「あしたっていまさッ!」
第 34 話「老師の予言の巻」
密室は開かれた。だがツェペリは悟る。今、この光景。それはかつて老師トンペティにより予言された自らの死の瞬間だと。そして残酷にも、一片の慈悲もなく予言は成就された。無残な姿となったツェペリは、しかし己の全てをジョジョへと継承する。
注釈
- 高度波紋修行「周天の法門」は未だ謎ですが、中国気功には小周天・大周天なる概念があるそうです。小周天が自身の気を操るのに対し、大周天とはより大きな規模、それこそ世界の気を自身に取り入れるといった技能になるのだそうで。これを波紋に応用したものとして荒木先生は考えていたのでしょうか。
- 必殺技(ひっさつぎ)「天地来蛇殺(ヘルヘブンスネーキル)」!!
- たぶんこの場所でしか使えないパフォーマンスにわざわざ名前をつけるあたり、タルカスここの修練大好きだったんだなってことが伝わってきます。でもその甲斐あって波紋戦士ちゃんと二人仕留めてますからね。
第 35 話「怒りをたたきこめ! の巻」
ツェペリ渾身最後の波紋がジョジョへと流れ込む。折れた首の骨を治癒するほどの力はタルカスを圧倒するのだった。決着の後、ジョジョの腕の中でツェペリは穏やかに笑い、そして息を引き取った。ウィル・A・ツェペリ、死亡――。
注釈
- ジョージとツェペリ、二人の父親を腕の中で看取ることになったジョナサン。この人確か20歳とかだったはず。人生経験――!
- 「深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)」
- 他者に自分の生命を分け与える波紋。他者の生命を奪って生きる吸血鬼とはどこまでも対の関係にあることが分かりますね。
第 36 話「遥かな国からの3人の巻」
ツェペリを喪った一行は町へと急ぐ。しかし既に町にはゾンビが蔓延りつつあった。そこへ現れる三人の男たち。彼らはツェペリからの知らせを聞きつけてやってきた新たな戦士であった。ディオは着実に勢力を拡大させつつある。間に合うか――!
注釈
- 父(ダリオ)に被虐されてきた母への愛情を仄めかしていたディオですが、それでいて必死に子供を守ろうとする母親をゾンビに変えて赤子を食わせるとかやってしまう辺り、少年時代の生い立ちとか環境とか関係なくてマジに根っからの悪人なんだなあと。
- サンダースプリットアタックに対して頭突きで迎撃するジョナサンに驚くダイアーさん。「普通なら後方に頭をそらして逃げるのに」と言っていますが、むしろそうやって逃げられた後にどう対処するのか気になる。
第 37 話「怪人ドゥービーの巻」
ポコの姉はディオに囚われていた。吸血鬼の誘惑を気丈に跳ねのける彼女は、ディオが残した怪人の手により穢されようとしている。現れるジョナサン、これを撃滅。今のジョジョに敵はいない。ただ一人を除いて。ジョジョとディオ、再び相対する。
注釈
ジョナサンがドゥービーの頭に落とした金床、たぶん 100kg くらいあるんですけど、これどっかから持ってきて屋根の上まで運んだ訳でしょ、どうせ一人で。人間超えてる感がまず笑えるし、あとそもそも何のために運んできたのかって考えてディオにぶつける為なんだろうなって考えると余計笑えるんです。
第 38 話「稲妻十字空烈刃(サンダークロススプリットアタック)の巻」
火花散るジョジョとディオの闘志。だがそこに割って入るものが一人いた。ダイアーである。放たれる稲妻十字空烈刃、しかし制したのはディオだった。死するダイアーだが、際の一撃がディオの右目を奪う。
注釈
「気化冷凍法のことダイアーたちに教えておけよ」問題ですが、それはつまり……その……そのですね。
苦しいですが理由を考えるなら
- ディオとの決着は頑として自分がつけるつもりだったジョナサンはあえて話さなかった
- 絶対の自信があったダイアーたちが聞きたがらなかった
- 筋は通る気はするが、ツェペリさえ破れた敵に対する慢心がキャラクターの格を下げてしまう
漫画的凄みとしては
- 一度敗れたサンダースプリットアタックにはまだ「続き」があったという驚き(ダイアーの格上げ)
- ……を踏み台とした気化冷凍法の強力さ(決戦前のディオの格上げ)
- 死に際の波紋入りの薔薇(ダイアーの格下げを防ぐ)
という三つの効果が一話に練り込んであって内容が濃い
特に最後の「波紋入りの薔薇」のキザったらしさがシンプルにかっこいいし、あとディオの波紋初ダメージってここなんですよね。つまり「親玉のディオにもちゃんと波紋は通るよ」という補足にもなっていると。すごく重要な回。
第 39 話「炎 & 氷(ファイヤー アンド アイス)!の巻」
武器をもってしても気化冷凍法は破れない。触れれば即座に凍らされる。だがジョジョは絶望しない。氷を破るもの、それは炎だ。剣、そして自身の拳すら燃やし、波紋疾走(オーバードライブ)は遂にディオを貫くのだった。
注釈
- 「おれの下僕となるため 吸血鬼のエキス(EXTRACT)を拝領するのだァァァァ――ッ!!」
- 緋色の波紋疾走(スカーレットオーバードライブ)ってどうなったんだろうって思いますが、きっとジョナサンの「咄嗟の思い付き(爆発力)」を描きたかったので、ちょっと横に置くことにしたのでしょう。
- 両の拳を合わせたパンチって技としてみれば絶対に強くないと思いますけど、「一個の熱塊」としてみれば単純に倍の火力なので、「冷凍法破れたり!」感が最高潮となって読者を襲う。
- 「人間には限界がある!」「人間の信念に不可能はない!」
第 40 話「悪鬼の最期! の巻」
波紋の光がディオを焼く。暗い崖下へと消えた吸血鬼を見届け、かくして小さな町での死闘は幕を下ろした。そうして二か月後、ジョジョとエリナは結婚する。新婚旅行、船出の時。皆が笑顔で見送った。二人の幸せと、そして一つの棺桶を。
注釈
- 「伝わってくる脅威が致命的なものとなる前に身体を切り離す」。ここら辺の流れを覚えてるとスティール・ボール・ランでニヤリとできます。
- ウインドナイツ・ロット、結局消失しなかった……。
- 食屍鬼街(オウガーストリート)のカスどもと仙道の高僧らが一堂に会して二人の結婚を見送る。なんと幸せな世界なんでしょう。
- ディオとの決着に涙を流すジョナサン。こればかりは後の主人公にない高潔さというべきか、「因縁の始まり」を知るジョナサンだけの境地というべきか。
死の間際、信用した相手に裏切られ死んだ騎士らはゾンビとなって蘇りました。すべてを憎むしか無かった彼ですが、ブラフォードが剣を止めることを信用して命を預けたジョナサンにより「かつて信じた」騎士の生きざまを肯定され、また自身が人間であることを思い出したのだと思います。
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