ジョルノが自らの傷口を開き血飛沫を舞わせた。それは凍った空気を彩り道を示す。活路を見出したミスタは撃った。反射した弾丸がミスタを貫き、だが血飛沫が敵の目を塞ぐ。尚も撃つ。敵は仰け反り、削れた鉄柱の先が呼吸孔を今度こそ貫く。
ミスタは銃撃を連発する。弾丸に押し込まれ鉄柱は敵の首へ食い込むが、反射した弾丸はミスタを貫き続ける。敵の首筋から迸る血飛沫は、だが凍り、体を固定した。勝利を叫ぶ敵の眼前にはジョルノ。蹴りの連打が今度こそ敵の首を貫いた。
指定された島、その塔の頂上こそ親子の再開の場だ。許された護衛は一人。ブチャラティが共に上陸する。不安を募らせるトリッシュにブチャラティが優しく声をかけた時、彼女は腕だけになっていた。任務は果たされた。後は父が娘を始末するだけ。
麻薬取引に巻き込まれたブチャラティ達親子を救ったのは「組織」だったが、「組織」もまた麻薬を扱っていた。そして今、トリッシュは自分の父に始末されようとしている。許さない。トリッシュを救い、ボスを仕留めるのだ。
ボスを追う。地下納骨堂での暗殺は、しかし読まれていた。姿を見せず反旗の理由を問うボスにブチャラティは返答せず、ジョルノへ連絡する。密にボスへ取り付けていたブローチ、この位置をジョルノは探知できる。すぐ傍の柱、そこに。
ジョルノ達は奇妙な体験をした。食べようとしたチョコはいつの間にか口中にあり、くれと頼まれた水は渡し終えていて、猫は一瞬で狩りを終える。まるで――。「時を飛び越えさせる」。それがボスの能力。ブチャラティは腹を貫かれていた。
未来を知り不利を消す。それは人生の絶頂を維持する事。沈むブチャラティの前でトリッシュが始末されようとした時、ジョルノから受け取っていたブローチがボスを一時行動不能にした。護衛任務はまだ続く。命令する者は自分自身だ。
脱出を試みるブチャラティだが、もう満足に体が動かせない。距離を離した筈のボスも戻ってくる。だがボスの「予知」を察したブチャラティはそれが無制限でない事も理解する。攻撃と見せかけたジッパーによる脱出。ジョルノと合流した。
ギリギリの所でトリッシュと共にジョルノの元へ辿り着いたブチャラティ。他の仲間も駆け付け、正体の露呈を恐れたボスは撤退する。逃げ切ったのだ。そしてブチャラティは仲間たちとの別れを宣言する。語られるのはボスを裏切った事実。
正しいと信じたからこその裏切り。その宣言に皆が沈黙し、しかしアバッキオとミスタが共に行くと決めた。残った二人にはついていけない。だがナランチャは遠ざかるボートを、遂には泳いで追った。果たして「組織」から逃れられるのか。