もっとも「むずかしい事」は、「自分を乗り越える事」であるッ。
ジャンケンなんて「運」だ。悪いときは負けるし、良ければ勝てる。だからこそ「公平」な手段として昔から愛用されてきた。だが、運でしかないはずのジャンケンが、運だけでなくなる瞬間がある。それは「恐怖」した時だ。「同じ『手』を続けて出すのは危険なんじゃないか」「自分には無意識の内に『良く出す手』があって、それを読まれてしまっているんじゃないか」「次に相手はあの『手』で来るだろうが、もしかしてそう読んでいる事を読まれているんじゃあないか」とな。恐怖し心に動揺が生まれたとき、相手はほくそ笑んでこう思うのさ。「やっぱりな」と。こうなればもうジャンケンはただの運勝負じゃない。高度な読み合い、駆け引きとなる。寝ても覚めても相手の心の内を必死に考える。生活の全てが「ジャンケン」となる。「相手にジャンケンを挑む時、自分もまたジャンケンを挑まれているッ」。この 1 年間ずっと行われてきた「サザエさん VS. キュアピース（S.V.C.）」とは、つまりはそういうものだった。
激戦だった。接戦だった。この戦いには「勇気」があり、「挑戦」と「成長」があった。決して相手を侮らず、持てる全てを捧げようという「敬意」があった。そして勝利したのは若き「キュアピース」だった。勝敗を分けたものは何か。どちらかに何かが欠けていたりとか、必勝の決め手だとかいうものは無かった。ならば何が勝敗を分けたのか。決まっている。「運」だッ！ あまりに高度な駆け引きは小賢しい手練手管を超越し、巡り巡って「運」という本質に回帰したんだ。
さて、以上で「S.V.C」は閉会となるが、まだ戦いは終わっていない。何のことかって？ キュアピースは『スマイルプリキュア！』の放送期間である「1 年」を走りきれば良かったが、サザエさんの勝負期間は「永遠」ということだ。この世からジャンケンが無くならない限り、サザエさんはジャンケンを続けていく事だろう。そしてキュアピースもまたプリキュアとして戦い続けていくのだろう。この岸部露伴は「漫画家」だ。彼女たちのように「戦い続ける者」の一端として（本心では自分が一番苦労していると思っているが）、本業の漫画家に戻ることにする。新人漫画家のキュアピースに、「お前はまだまだなんだぞ」という事を分からせてやらないとな。以上だ。