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『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』 第 34 話「ダービー・ザ・ギャンブラー その 1」

エジプトに踏み込み、そして DIO の膝元カイロに到着した。だが町は広く、せっかく念写した敵の本拠地も場所が分からない。なんか周囲の様子を少しずつ念写してって絞り込んでいくというような方法は使えないのだろうか。カメラ代なら大丈夫。ジョセフは不動産王だし、いざとなれば SPW 財団が何とかしてくれる。だがやらないということは出来ないのだ。そういうことにしておこうッ!

しかし不思議だ。一行には DIO の居場所は分からないのに、DIO には一行の場所が筒抜けだ。目立つ奴らとはいえ、些か簡単にマークされ過ぎではないか。 DIO の血族感知能力は承太郎達よりも優秀なのか、敵の手は思った以上に広いのか。もしかしたら SPW 財団の中にスパイが紛れ込んでいるのかもしれない。これはガチでありそうだぞ。ともかく一行の元に怪しげな男が一人現れる。彼の名はダービー。D'.A.R.B.Y でダービー、オービーでもバービーでもない。そして彼は「『オシリス神』のダービー」でもないのだ!

だが何と無謀な男だろうか。激戦を重ね、数々のスタンド使い達を退けてきたジョースター一行に対し、抜き身の本体のままに挑んできた。そして事もあろうにギャンブルで。相対するはジョセフ・ジョースター。若き頃はその一流の賭博師さながらのブラッフで、柱の闇の一族すらも打ち倒した、我らがジョセフ・ジョースター! 老いてますます健在と自称する作戦能力は、しかし――敗北した。このくだりは未だ物議を呼ぶ。曰く「ジョセフは老いた」。曰く「全盛期であれば負けなかった」。だが個人的にそうは思わない。化かし合いは精神力の闘いであり、『ジョジョ』の世界において、精神とは年を重ねる毎に成長していくものだからだ。ジョセフは確かに老いた。しかし経験を重ね、若年の頃には無かった様々な戦略を身につけてここに立っているはずなのだ。だが負けた。その上で負けた。状況はダービーが作り出した。入念に準備を行い、敵を自分が有利なステージに誘い込んだ。そうでなければまた変わった話もあっただろう。しかし表面張力の勝負は、ジョセフ自らの発案だ。ダービーはジョセフが何らかの仕掛けを施してくることを見越していたのだろう。だが勝った。承太郎とアヴドゥルの二人の目すら潜り抜け、相手に有利な勝負を挑まれた時点で、イカサマを実行して見せたのだ。認めようではないか。ダービーというギャンブラーは、ことギャンブルにおいてジョセフ・ジョースターを上回っている!

主人公たち四人(と一匹)の内、二人が敗れてしまった。自ら打って出ることを決めた承太郎に、果たして勝機はあるのだろうか。とりあえずアヴドゥルはイギーを押さえておかないと。そのバカ犬、仲間意識とか無いから、迂闊にダービーをボコってジョセフ達が天に召されてしまう。

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