「ヴァニラ・アイスが負けたのって DIO とかいう奴のせいなんじゃねーの?」 バカやろう、なにを言っていやがる。吸血鬼化してなかったら、「おれの剣をしゃぶれッ!」で終わってただろうが。まったく……まったくよ……。というわけで、吸血鬼化していなければ勝負はもっと簡単に終わっていたのではないかという話を今回はしていこうと思う。
「呼吸」である。何でも飲み込む亜空間には、例外的にヴァニラ・アイスのみ生存できる。だが能力の一環として本体が除外されているだけで、そもそも人間が生きられる環境ではないだろう。そこに正常な大気成分など整っているはずもない。故にだ。ヴァニラ・アイスは亜空間の驚異から除外こそされてはいるかもしれないが、時折呼吸をするために顔を出す必要はあったのではないか……という推論が成り立つ。本編の描写を見る限り吸血鬼に呼吸は必要ない。 DIO は部下の弱点をしかと見抜いており、後々のことも考慮した上できっちりパワーアップを施していたのだッ! さり気ない優しさッ! これが無ければポルナレフ達の攻撃チャンスは増大していたはずで、彼らの犠牲はもっと少なく済んでいた可能性がある。まあヴァニラがそれを自覚していたとすると、人目に触れない場所で呼吸してから再度潜る、といった形で弱点を克服していたことも考えられるが、ともかくヴァニラ・アイスの驚異的な強さは、背後にいる DIO の影響が大きく関与していたことは間違いないのである。
だがこうも思う。「事前に打ち合わせとけよ」と。ヴァニラ・アイスに吸血鬼化の自覚さえあればまた結果は違っていただろう。太陽光を避ける戦い方をしていただろうし、吸血鬼の再生能力を活かして長期戦に持ち込むことも出来た。もしも承太郎達が合流してしまっても、花京院を削るくらいのことは出来ていたかもしれない。……ヴァニラ・アイスが負けたのって DIO とかいう奴のせいなんじゃねーの?