夢のような時間だった。
面白かった、とかではないのだ。「夢のよう」だったのだ。無論面白かった。ドラマを面白く仕立てるための技術に満ち溢れていた。そして魅力的なキャラクター。ギミックを駆使し尽くした戦車戦。テレビ板の展開をリフレインしたかのような、理想的な「劇場版」構成。分析しようと思えば幾らでもロジックを掘り起こせるはずだ。だがね、観ている最中はそんなことを考えられる精神状態になかった。夢の内容のレビューなどしないのだ。
『ガールズ&パンツァー 劇場版』は「夢」だったんだ思う。監督が、製作スタッフ陣が見た夢。「戦車とこの娘達がいれば、こんなことができる」のだと、皆で見た夢を叶えた、その「結実」だ。「これがやりたい」「こんなこともできる」「こんなのはどうだ」というエネルギーに満ち満ちていた。その熱に当てられてしまって以降、最後まで恍惚とスクリーンを見つめてしまっていた。戦車に詳しければ、もっと深く夢に潜れたのだろうか。
面白い映画はある。でも幸せな気持ちにしてくれる映画というのは、そうそうあるものではない。観られて良かった。以上。