「男と女がずっと一緒に生活することで大切なことは『愛』を持つことと、共通の価値観だとか、同じ目的を持つことでしょう?」
真理を口にしているが、この有様を見る限り何かが欠けている。なんだろう。「愛」ですね。まずお互いの気持ちが通い合っていなければ価値観の共有も糞も無いのだ。『ジョジョ』は勉強になる。だが由花子個人の愛は間違いなく本物であり、一級品だ。原動力や成り立ちを一言で説明できるスタンドは、シンプル故に強力である。由花子のそれは「愛」であり、そして「髪の毛」だった。「自分の『一番』で相手を縛りたいッ!」 確信に満ち満ちた精神力が凄まじいスタンドパワーを生んだのだ。
一方で康一くんも圧倒されるばかりではない。「エコーズ」が「ACT 2」へと成長した。康一君の凄いところはこの成長性そのものではなく、絶望を口にしていながらも心の底では諦めていないところだろう。だから言葉や状況とは裏腹にスタンドが成長していくのだ。皆が康一君に見る「きらめき」はきっとこの点なのだと思う。
そして康一 VS. 由花子も決着。康一君の勝因は「相手に惚れさせる」ことだった。思うに由花子の愛は自己愛の延長だった。自らの基準に合致する「相応しい相手」を選んだだけだからだ。故に基準から外れた部分を矯正しようとするし、意見を尊重する気もない。だが山岸由花子は恋をした。自らの理想を超える康一君の人間性に衝撃を受けたことで、初めて他者の為に身を引くことを覚えたのだろう。取り合えず今は。