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『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』第 19 話「『重ちー』の収穫(ハーヴェスト) その 2」

小銭集めを趣味程度の気持ちでやっていた「重ちー」だったが、金額が跳ね上がったためか、その顔からはかつての無垢さが消えて失せた。「食っていけるッ!」という実感が沸いたのだろう。実際、アイディアのように形の無いものに感謝はしにくいのだろう。哀しい話だが、落とし物とはいえ、軽い気持ちで取り組んではいけない事業だったのだ。というか今回のことが許されるのなら、仗助はもっと「クレイジー・D」を使って色々やりそうなものだが、まあ彼なりの基準が存在するのだろう。

という訳で紆余曲折あってゲットした 500 万だが、「重ちー」に分け合う気持ちなどさらさらない。失せろ! 死ね! 物欲のもつれから、スタンドバトルの始まりだッ! いいのかこれで。いいんです。「ハーヴェスト」は貧弱なスタンドだが、それは個体ごとのパラメーターを見た場合の話だ。数は力。そして何らかのスイッチが押されたのか、今の「重ちー」には「数」を扱う頭脳がある。集まれば強し、かつ群体タイプ最大の強みは、一体やそこら潰されてもダメージが本体にフィードバックしないという点にある。そしてその小ささ故、二人は「ハーヴェスト」の初撃を一切避けられなかった。「重ちー」に本物の殺意があれば勝負の結果は明らかだっただろう。この戦闘においての最大の間違いは、「ハーヴェスト」の射程を活かさなかったことだ。一旦距離を取り、暗殺に徹すればまた違った結末に至っていたかもしれない。射程が長い故に、本体は身を隠すことが可能で、スタンドのサイズ自体が小さいが故に気づかれにくい。アルコールを毒物に置き換えていれば、これほど暗殺向きのスタンドもあるまい。パッショーネからのスカウト待ったなしだ。

しかしそれでは困ってしまうので、仗助たちは協力の末に「重ちー」を破ることに成功した。そしてさり気に金の分配を調整してみせる。一体、どっちが悪役なのか分かったものではない。いや、全員か。

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