「シアーハートアタック」の真の恐ろしさは爆発能力と追尾能力ではなく、その両者を最大限に高める「硬さ」だ。なにが恐ろしいって、「スター・プラチナ」のラッシュでも破壊できないところ。遠隔自動操縦型というのはそのスタンドを破壊することで一応の解除を試みることが出来るわけだが、「シアーハートアタック」はそうもいかない。ただ遠隔自動操縦型は破壊できる代わりに本体にダメージがフィードバックされない点を利とできるのだが、「シアーハートアタック」は破壊できない代わりにしっかりと本体に状態異常が伝わってしまう。そういう意味ではバランスが取れているのかもしれない。この場に億康がいて、「ザ・ハンド」で削ってしまえば、きっと吉良の手も同じように消滅していたことだろうし、安全な場所でふんぞり返っていられるようでいて、結構綱渡りな方法なのだ。その綱渡りを完遂できる確信こそが殺人鬼の強さを支えているとも言えるのだが。
という訳で、いい感じにプレッシャーをかけられたことで康一くんが成長してしまった。叩けば叩いただけ強くなり、そして身長が縮む男、広瀬康一。彼が獲得した能力は対象を「重く」する能力だった。これは重力を操るというよりは、「重いと言ったから重くする能力」だ。「エコーズ」はその名の通り「言葉の響き」を司るスタンドである。だから擬音の印象に立脚した効果が発揮されるし、成長すればそこに実体すら伴った。故にその最終地点として、「重い」という言葉を完遂する能力へ到達したのだろう。「エコーズ」と「キラークイーン」は、同じ可変タイプのスタンドである。「スター・プラチナ」と「ザ・ワールド」は同型だったからこそ、片側が出来たことはもう片方もできるという前振りになっていた。だから「エコーズ」が能力を柔軟に使い分けるのなら、「キラークイーン」にとっても同じことなのだ。そして片側に成長が許されるのなら、もう片側にも。