あー、わがままなのだが、この「吉良が自分の失言に気づいてゆっくりと背後を振り返る」場面、もっと緊張感を演出して欲しかった。ただそれは個人的な「原作通り」なのであって、観る人が違えばあれはあれで「原作のイメージ通り」になるのだろう。難しい話だ。
という訳で、チェスや将棋でいう『詰み(チェック・メイト)』にまで持って行ったはずの吉良だったが、うっかり自ら真相を暴露してしまった。「バイツァ・ダスト」は早人という爆弾から真実を得ない限り発動しないので、吉良が自分で吹聴する分にはいくらでも拡散可能なのだ。なにをしてんだおめーは! でもこうでもしなきゃ勝てなかったのではないか、という話だが、実は意外とそうでもないんじゃないかと思っている。なぜなら「バイツァ・ダスト」発動中は別の爆弾を使えず、しかし吉良は殺人の衝動を抑えられないからだ。だから仮に今回仗助たちが全滅したとしても、いずれ吉良は殺人を犯すし、そのために「バイツァ・ダスト」を解除する時がくるだろう。そして第三の爆弾は好きなタイミングで都合よく発現できる訳ではない。発動まで持っていけるということは、今回のように限界まで追い詰められているということになる。追いつめられて、逆転する。そんなことが永遠に続くかと言われれば、ちょっと虫のいい話だ。いずれは追いつめられる。それが今だっただけの話なのだ。
という訳でスタンドによる真っ向勝負が始まった。やっちまった吉良だったが、それでも運は吉良に味方し続けている。この期に及んで新たなコンビネーションの発動だ。ここからの攻防は本当に熱い。能力の応酬、その性質の解析。四部終盤にして、スタンド・バトルというものの集大成を見た気になれる。グレートですよ、こいつはァ。