おや、普通に面白いぞ。というのも、たぶんそれなりに面白いんだろうなとは思ってたんです。だって原作が面白いんだから。しかしいざ本番を迎えてみると、こっちが想像してたよりもグレートな出来に仕上がってましたね。
個人的に気にしてなかったからなのか、役者と役柄の不一致は感じませんでした。そもそも原作からして、見た目外人のいかつい男が高校生やってたり、背が異様にちいさいおじちゃんがいたり、「外見と設定のミスマッチ」、悪く言えば「コスプレ感」っていうのは『ジョジョ』の本質とは言わないまでも、「面白さ」の一端に触れるものではあったと思うんです。その面白さが実写という世界に持ち込まれただけなので、『ジョジョ』の世界観と照らし合わせてもさほど違和感はありませんでしたね。仗助の顔が丸いなあとは思いましたけど。あと序盤で上級生が仗助に「ふざけた頭」って言うところで、原作に増してお前が言うな感半端なかった。それとコスプレ風味の皆さんの中にあって、承太郎の髪の帽子への浸食具合はちとやり過ぎなんじゃないの、とかも思いましたが。それくらい。あ、虹村父は原作がある意味グロ可愛かったのに対して、実写化すると普通にグロいだけだったので、悲壮感においては上回ってたと思いますね。
全体の構成や原作の拾い方も良かったです。原作と呼ばれるものがある場合、それを映像化する時は結構弄って良し! と思うタイプのスタンド使いとしては、連載漫画を一本の映画として組み立てるに当たって気持ちのいい運び方だったのではないかと思います。荒木先生自身が仰ってましたが、週刊連載はジャズのセッションらしいので、そのリズムからこぼれてしまった東方良平というキャラクターの掘り下げを映画でやってくれたのは嬉しかった。原作と違って映画は話の半分以上をアンジェロが占めているんだから、それを捕まえた人間について深く描くのは当然の話。改変と言えば最後の展開も結構びっくり出来ましたしね。面白ければ何でもよし。強いて言うなら、スタンドという存在への説明シークエンスにもうちょっと時間を割いて良かったんじゃないかと思いました。『ジョジョ』を知らない方にとっては急ぎ足に思えたんじゃないだろうか。三部でジョセフが承太郎にしたような説明をそのままやって良かったんじゃないかと思います。ああ、構成の話というなら、仗助が髪を馬鹿にされてキレるくだりを二度繰り返してから、三度目は承太郎に返り討ちに合うという流れにしてくれたのは最高に良かった。原作を知らずに挑んだ方にも承太郎の別格感が伝わったんじゃないかな。
スタンドの出来も文句なしでしたねえ。特に「バッド・カンパニー」を捌き切る場面の「クレイジー・D」の挙動なんかは、「原作含む全メディア」の中でも一番かっこよかったんじゃないかってくらい。ラッシュ時の掛け声に関していえば、そこはさすがに声優さんさすがだなって思いましたけどね。
あと仗助が「運命」がどうたらって言ってましたが、あれをわざわざ言わせたのは、恐らく「バイツァ・ダスト」への前振りでしょう。 ED がそれを予期させるような演出になってましたし、ちゃんとやってくれるんでしょうね。楽しみに待ってます。