「成長性」。それはスタンドが持つパラメーターの中で最も「便利」な項目だ。身も蓋も無い言い方をしてしまえば、展開に合わせてどうとでも持っていける、「荒木先生にとって」便利な項目なのだろう。その最たるものが康一くんの「エコーズ」だと思っているが、今回の「ベイビィ・フェイス」はこの「成長性」が持つ「おぞましさ」を取り立てた能力だと言っていい。「生まれる」というのは神秘的な事象かもしれないが、それ故にグロテスクにも成り得る。誰でも知っているものが、しかし誰も知らない形で行われるというのは最も恐ろしい事の一つだろう。そうして最もおぞましいスタンド「ベイビィ・フェイス」は生まれた。だがサブタイトルにナンバリングがされていない。さては話数を割く気がねえな。でも勿体着けたものが儚く散る姿は美しいもの。良い判断かもしれない。
面白いのは「ベイビィ・フェイス」が元々ブチャラティを追跡するために生み出されたスタンドだということ。ジョルノが全て言ってくれているが、同じ「生命」に関わる能力を持った、しかし何の因縁も無い二人が出会い奇妙な化学反応を起こすというのはとてもロマンティックだと思う。因縁を超えたドラマこそ、本当に面白い。
(追記)ところで任務を終えた「ベイビィ・フェイス」はどうなるのだろう。一度に何体も生み出さないのは出来ないということだろうし、これがメローネ初めての任務という事もないだろう。なら以前産み落とした個体がいるはずだ。順当に考えると任務と共に赤子はその命を終えるのかもしれない。そう思うと儚いものだ。