「トリッシュ連れてきてちょうだい」の一言で続いてきた「黄金の風」。多くの障害を越えて遂に目的は達成される。しかし忘れているかもしれないが本編のテーマは「ジョルノ・ジョバァーナの夢」であり、それは組織を乗っ取ること。だから娘を引き渡してハイおしまいではない。根底にあるものを共有するジョルノとブチャラティだけが目と目で通じ合う。だが父との再会を不安に思うトリッシュに、ブチャラティは優しい言葉をかけた。組織は憎むべき麻薬を売りさばいている。故にその元締めたるボスはいずれ倒さなくてはならないかもしれない。だが、目の前で震える一人の少女に、ブチャラティ自身が親から受け継いだものの偉大さを伝えずにはいられなかったのだ。
気付けばトリッシュが腕だけになっていた。
命をかけたトリッシュの護衛任務。その真相は、ボスが自分自身の手で娘を始末すること。現に暗殺チームは血の繋がりからボスの謎を解き明かそうとしていた。娘の抹殺命令を出さなかったところが肝だ。目の前で、自分自身の手でなければならない。つまりはこの世の誰のことも信用していない証である。そして今、ボスは目的を遂げようとしていた。
これは見方によれば僥倖だ。ドラマから「迷い」が失せたのだから。ボスは倒すべき敵だが、娘のことを心配する親でもあるのだと、そんな事を考える必要が無くなった瞬間なのだ。ブチャラティが怒りに燃える。ジョルノから託されたブローチをボスのケツへと貼り付け、そして狙うは「暗殺」だッ! ボスは殺す。娘も救う。「両方」やらなくっちゃあならない。しかしボスのスタンド「キング・クリムゾン」は、全く理解の外にあった。「時間を消し去って飛び越えさせた」……? 駄目だ分からん。だが時間に干渉するのはラスボスの証。ゴールは見えたということだ。果たして何人が生きてそこへ辿り着けるのだろうか。