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『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』第 21 話「キング・クリムゾンの謎」

「キング・クリムゾン」の能力、それは「時間を消し飛ばす」というものだ。録画の「スキップ」機能に例えれば分かりやすいだろうか。時間をスキップした結果、チョコを食べようとした者の口には既にチョコが放り込まれており、猫は人間を踏みつけ足跡をつける。間に起きた事実が消滅する訳ではないが、その過程を認識する事だけが誰にもできない。理解できない者にとっては、ただ一瞬の記憶が削り取られただけだと覚えるかもしれない。だが最大の妙は、その「消し飛ばされた過程」をボスだけが認識し行動できるという点だろう。つまり「自身にとっての不都合を拒否できる能力」と言える。「『絶頂』のままでいられる」とはそういうこと。ただし消える「過程の時間」の中を動くことは出来ても、他人に攻撃できる訳ではないらしい。そこが DIO の「世界」と差別化できる最大のポイントだ。

そしてとんでもない話だが、「キング・クリムゾン」は予知能力も併せ持つ。これにより「スキップ」すべき未来か否かを判定するのだろう。スタンド・パワーは無限ではないのだから、無尽蔵に時をスキップできるはずもなく、だからこそ吹き飛ばすタイミングは選ばなくてはならない。この「ついで」の予知能力、ズルいと思うだろうか。ぶっちゃけズルい。でも持ってるんだから仕方ない。だからブチャラティは致命傷を負いながらも絶対に諦めなかった。ボスが「先」を知るのなら、更にその「先」を読んで行動する。絶頂しか知らぬ者に、沈む痛みを知る者の知恵を見せつけてやるのだ。

ジョルノの協力もあり、ブチャラティはトリッシュと共に命からがら生還した。ブチャラティの体調が異常に悪く、さながらゾンビのような挙動が目立つが、きっと気のせいだろう。何事かと騒ぐ部下たちにブチャラティは言う。「組織」を裏切るか、自分と共に来るか。一行を沈黙が包み、しかし皆がブチャラティと同じ道を歩むことを決意した。ただ一人フーゴを除いて。荒木先生曰くフーゴは当初一行にとっての「裏切者」となる予定だったようだが、辛すぎて止めたのだそうだ。先に言っておくが、彼はもう「この先の時系列」の中には登場しない。その後の彼がどうなったかは、ジョジョの奇妙な冒険 2 ゴールデンハート / ゴールデンリング恥知らずのパープルヘイズ―ジョジョの奇妙な冒険より―を読むといいかもしれない。何を以て「公式」とすべきかは各々の判断だが、多少の寂しさは埋まるだろうか。

という訳で護衛任務は続行される。護る対象は依然変わらない。ただ襲ってくる相手が少しばかり強大になり、仲間が一人減っただけ。「行く」と決めた者達なのだ。大したことではないはずだ。

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