ボスの能力は割れた。生誕時の事も割れた。そして「片割れ」のドッピオの存在も、今回割れた。様々な事が詳らかになって来ているのに、全く正体に迫れている気がしない。なんだよあの赤ん坊はの異様さは。こうなると「父親は？」という疑問に行き着くのだが、少なくとも原作では不明なままだ。ここら辺、異様な父親を持つという事実から始まったジョルノという少年の物語と重なるように思えるのだが、残念ながらそのような対称性が 5 部の中でこれ以上掘り下げられることはない。
ところで一連のエピソードからはドッピオの迂闊さ、ボスの「始末」の基準がよく分からない点が目立つが、考えるにボスは「ドッピオとして行動する」ことに重きを置いているのだと思う。部屋にずっと閉じこもっている訳にもいかない。故にドッピオに「人生」を代行させる事がそのまま自身の痕跡を消すことに繋がるのだろう。だから自分の正体に迫る占い師を消しはしたが、目撃者の少年を始末する事には拘らない。「ドッピオが殺人を犯し、子供に見られた」ことが、自身の本質に触れるものではないとの判断なのだろう。それが正しい事なのかは分からないが、今のボスの地位を作り上げたやり方である事は間違いない。
さて暗殺チームの部下を代償として、遂にリーダー・リゾットがボスの間近へと迫る。護衛チームのリーダーであるブチャラティも同様にボスの打倒を試み、しかし返り討ちにあった。アニメスタッフの巧妙な工夫によってチーム戦としての彩りが原作よりも鮮やかになった印象を受けたアニメ版だが、一つの大きな対立に決着がつこうとしている。