不利な未来を吹き飛ばし、常に絶頂でいる為のスタンド「キング・クリムゾン」。故に「予知（エピタフ）」は必然的にひっついてくる副産物であり、それを「自分自身」であるドッピオに譲渡することは何ら不自然なことではない。そんな解釈をしてみたところでジョジョでは珍しい「敵 vs. 敵」である。『ジョジョ』とは基本的に主人公（たち）が敵を打倒する物語であるが故に希少であり、そして滅茶苦茶面白い。
さて「気づかれずに攻撃できる」というのはそのまま「強さ」だ。だからスタンドバトルは基本的に不意打ちから始まる。故に、スタンドを知覚できるという点で、スタンド使いに立ち向かえるのは原則スタンド使いだけだが、時に同じスタンド使いに対しても「認識の外側に立てる」能力が存在する。その筆頭が時間を静止できる「世界」だろうか。同様の理由で「キング・クリムゾン」もそうだろう。ヴァニラ・アイスの「クリーム」も強い。だがあの亜空の瘴気に匹敵するほど「強い」のが、このリゾットの「メタリカ」だと思う。能力で姿を隠せるというのも勿論だが、何よりも「接近するだけで能力を強制できる」というのが大きい。スタンドの多くは人型なので、その拳で殴ることが能力発動のトリガーとなっているが、「メタリカ」はただ「思う」のみだ。つまり防御ができない。スタンド使いに対しても、仮に間近であってもスタンドパワーを隠蔽できる上に、発動してしまえば相手は防げないのだ。だから強い。しかしそんな無敵と思える能力であっても、やはりボスには勝てなかった。
かくして決まり手はナランチャの「エアロ・スミス」だった。直前に死ぬ思いをしたナランチャたちにしてみれば、ようやく上陸した島、極限に近いくらいに警戒している中で明確に「メスを投げられる」という攻撃を受けたのだ。問答無用でカウンターをぶち込んでも文句は言えまい。しかしこの横槍に憤りを覚える声が上がっているという。だがこれはむしろリゾットをはじめ暗殺チームの人気の裏返しだろう。アニメスタッフの健闘が実ったと言っていいと思う。