『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
まず言わせて欲しい。「思ったほどではなかった」。で、最初は自分が子どもの頃に観て育った『ゴジラ』シリーズについての記憶をうすらぼんやりしか残してなかったからかなと思ったんですが、本作はそんな底の浅い作品ではないと思う。たぶん、事前に「人間ドラマが少ない(から期待できる)」という評価を聞いてしまい、それで無駄にハードルを上げてしまって、そして結果として「思ったほど人間ドラマが少なくなかった」から、その落差にダメージを受けてしまったんじゃないかと自己分析。そして更に言うなら、自分は人間ドラマパートがさほど嫌いじゃないのだと思う。怪獣映画において、翻弄され対策を練る側としての人間ドラマは重要だ。だから自分としては、やるからにはもうちょっとそこに力を入れて欲しかったし、力を入れないなら削って欲しかった。いや力は入れたのかな……でも好みではなかった。ただ、手放しで言える事ではないけども、本作が傑作かと聞かれたら間違いなく YES だ。
以下、チラリと感想。
- 怪獣プロレス
- ド迫力の一言。スクリーンで観れた事を光栄に思う。ただ不満点というか、もっと十数体の怪獣が入り乱れるカオスを期待してたので、その他の怪獣が世界中で暴れまわっているという状況に留まった点は残念。メインを絞らないと逆に印象が薄れるという事なんだろうけども、そうしたセオリーを踏みつぶすとんでもねえもんを期待していたのだ。勝手な話だとは思う。
- モスラ
- こいつだって他と同じモンスターの筈なんだけど、羽化を見届けた人たちが危機を感じて逃げるでもなく総じて笑顔になっていたのが面白い。問答無用の神々しさってのがある。テーマ曲の説得力も良い。
- BGM
- そう、 BGM が本当に良い。ギドラのテーマに般若心経ですよ。般若心経もオーケストラも生まれた頃は互いの道が交わるだなんて思ってもいなかっただろう。それを結んだものが「怪獣」なのだ。意味が分からなさ過ぎて凄くない?
- モスラのテーマの良さなんかもそうなんですけど、もちろんアレンジが有く効いてるにしても、元々あったものの良さを「改めて」認識できるって素晴らしい体験だと思っていて、なんていうか「ゴジラのテーマ」ってすっっっげえ良い曲なんだって。ゴジラを象徴するものとしてあれ以上のものは創れないんだろうなと思わせてくれる。
- バーニング・ゴジラ
- 決まり手のアサルト・アーマーは掛け値なしにかっこよかった。一発で決めるんじゃなくて数発に渡ってぶち込んだのも容赦なくて大好き。あそこの爽快感だけでもう一度観たいと思わせてくれる。
- 「さらば、友よ」
- 終始「Godzilla」を「ゴジラ」と発音してくれる人、芹沢博士。
- 「傷を癒すには傷をつけた悪魔と和睦するしかない」というのは真理ではあるけど人間の領域を超えた所にある到達点で、その境地に達してしまった時点で博士は死ぬ運命にあったんだろうなと思う。あれは人を超えた決断であり、だから彼にとっては最高の死に様なんだと。
- 「我々が買おう」
スポンサーリンク