「ダイヤモンドは砕けない」のチープ・トリック戦をベースにした話。まさか本編から持ってくるとは思っていませんでした。確かにスタンドという概念を取っ払えば、背中に取り憑くあいつは悪霊の類以外の何者でもない。前回、橋本陽馬を変えてしまった原因に六壁坂という土地が関係していると踏んだ露伴は、何と財産を叩いてそれを買った。そんな露伴のもとに乙雅三なる不動産業者が訪れ、買った土地を売ってくれないかと交渉しにくる導入。仗助不在のこの世界で家が燃えることは無かったが、運命はやはりこの二人を引き合わせました。吉良吉影への手がかりか、六壁坂の土地という違いはあるものの、悪霊は目的を持って露伴に接触しました。後の流れは概ね原作通り。相変わらず原作の要素の拾い上げと組み立てが本当にお上手でした。
難点をあげるなら「振り向いてはならない小道」の活用でしょうか。構成上しかたないことではあるかもしれませんが、原作でのあの「小道」には一度殺されかけた流れがあったからこそ、その脅威を別の脅威にぶつけることで独特のクロス・オーバー感、言ってみれば『貞子vs伽椰子』にも似た燃え上がりが発生していたわけです。そういう意味でドラマ版の「小道（平坂）」は、まずその脅威の実証が済んでいない上、露伴がその効力を頼る根拠が薄弱だった為にちょっと爆発力が弱かったのかなと思いました。というか平坂の怪異の発生条件ってちょっと簡単過ぎませんか。しょっちゅう神隠しが起きてても不思議じゃないレベル。あと原作では乙雅三の「背中を見られたくない」執着を引き出す形で矢がチープ・トリックを発現させたと解釈していますが、ドラマ版の乙雅三はつい最近悪霊が取り憑いた割に「背中を見られたこと無い」と言ってるんですね。まあここら辺解釈のしようはいくらでもあるのでしょうが、ちょっと腑に落ちない点ではある。
と、単発の話でそこまで期待することではなかったかもしれませんが、それでも出来が良かったが故の物言いを並べてしまいました。そんなわけで次回が最終話。決戦は六壁にて、いかがか？