橋本陽馬から端を発した怪異の出処と見た六壁坂へと露伴が赴く(一応の)決着の話。
んー、ヘブンズ・ドアを介しての回想から先、ちょっと退屈でしたね。あの場の男女のもつれそのものはありふれた話でしかないので、「荒木飛呂彦の絵力とテンポ」で展開されないと間が持たないのではと思いながら眺めてました。実際のところは出血の描写やコントラストなど、多様な工夫が施されてはいたのでしょうが、個人的にはあまり引き付けられるものも無ければ興味も持てなかった。
思うにこれが最終話なのが尻つぼみに繋がったのかなと。要はこの話、二話目に持ってくればよかったのでは。橋本陽馬の一件から興味を引かれた露伴は次回早速六壁坂を訪れ、今回の怪異に遭遇、そして杜王町の日常に還った露伴を、しかし六壁坂の更なる怪異(チープ・トリック)が追いかけてくる……。という流れにした方がテンションを維持したまま終われた気がします。「一度決着したはずの脅威がパワー・アップして襲ってくる」というのは荒木先生が一部と三部でやろうとしていたテーマでもあり、それ故にスピンオフとも親和性が高いんじゃないかなどとも思いましたね。また六話終了後も、依然として露伴はあの土地を所有したままなので、或いはその事実を目当てに別の怪異が襲ってくるかもしれない。その予感を残すことは余韻に繋がるかもしれない一方で、しかし話としてはイマイチ畳まれていない。なので最終話で「追手」としての怪異を描き、そいつを杜王町の「平坂」で撃退することで、「この世ならざる脅威はお前らだけじゃないんだぜ」という熱さを生み出しながら、今シリーズの幕を閉じることができたんじゃないかなあと、勝手ながらの感想です。
最後に不満が出ましたが、どちらにせよドラマ化それ自体が嬉しいことであり、クオリティが高いメディアミックスであることは確かだったと思います。来年もお願い申し上げたい。待望のアワビ戦をば、是非に。