推測ですが、まず「DIO の骨」に魂を吹き込むという展開の目処があり死者蘇生能力が必要だったんでしょう。で、『ペット・セメタリー』の要素を組み込めば敵スタンドとして使えるなあ。だけどリビング・デッドってだけじゃひと目につくしあんま強くない……そうだ『シックス・センス』も混ぜちゃお! という動線から作られたのが今回の敵スタンドだと思っています。
ということでスポーツ・マックスの「リンプ・ビズキット」。生体を鋳型にして魂を練成する能力……と言えば飲み込みやすいか。ただし副作用というか、練成された魂は凶暴化して人を襲う。この幽霊と鋳型(肉体)の間には強い繋がりがあり、幽霊を叩けば鋳型にもダメージが反映し、結果として鋳型の破壊は幽霊をも破壊する。ある意味で死体を使って「できそこないのスタンド使い」を作るとでも言ってしまいたいところですが、この幽霊はスタンド使いですら目視できないのがややこしい。だって幽霊じゃなくて「透明なゾンビ」なのだから! ……理屈の異なる不可視の存在を数種類作ると読者を混乱させられて楽しいよという荒木先生からの御指導でしょうか。
6 部はここから先ややこしくないスタンドが出てこないと言っても過言ではないですが(「ない」の三段活用)、唯一の救いというか味方スタンドは比較的シンプルな作りなのもあり「勝ち方」は分かりやすいです。荒木先生の芸風と手腕も合わさって「とにかく勝ったぜ! スカッとしたぜ!」と思っておけば問題ないので、あんま深く考えず楽しみましょう。エルメェスの復讐も完遂し、来週は遂に厳正懲罰隔離房(ウルトラセキュリティハウスユニット)に視点が戻るッ!