『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』第 27 話「スカイ・ハイ」
2023.01.22
エルメェスがいっぱい「なにィ――!」って言う回。
敵はリキエル。彼の「スカイ・ハイ」は、「ロッズ(スカイフィッシュ)」を操る能力という、なんともな変わり種です。炎や氷などのスタンドで作り出した現象でも、スタンド・パワーによって砂などの物質を操る能力でもなく、生物そのものに働きかけるタイプのスタンドでした。似たスタンドは……意外と思いつかない。スタンドによって他人の体を操ることができる「ジャスティス」などが、強いて言えば近いかも。とにかく「特殊な何か」を操るスタンドであって、スタンドそのものに戦闘能力は存在しない。そういう意味では、ロッズが生息しない土地では無力と言えます。それを思うと、「宇宙(スカイ・ハイ)」へ到達しようとする人間の成長を思う彼の能力は、当の宇宙では効力を発揮できないのか。少しだけ皮肉ではある。
強力ではあっても極めて限定的な能力だと思いますが、それでもリキエルはその自覚を持って立ち直りました。例え限られた力とはいえ、自分は全くの無力ではない。そして孤独ではない……そんな認識こそ彼に力を与えたのでしょうか。
環境が悪を作るわけではない……とはかつてスピード・ワゴンが言った言葉ですが、それがこの世界の根幹を為していると仮定して、DIO の息子たちは総じてロクな人生ではなく、そしてそれは恐らく「DIOの息子」だからという点に帰結します。なんとも哀れです。しかし『ジョジョ』とは同時に、変えようもない生まれや運命に、それでも抗おうとする人間への賛歌を描いてきました。だからこそ同じく DIO の血統であるジョルノは、それでも鮮烈な出会いによってその場所から立ち上がったのだし、黄金の意志さえも宿します。
人間にはとてつもないエネルギーが眠っている。その性質は運命によって残酷に定められているのかもしれませんが、それを変えようと試みる自由を『ジョジョ』は賛美する。リキエルのそれは、ジョリーンたちに敵対する道でしか起こり得ない燃焼だったのかもしれませんが、その炎は熱く美しかった。
リキエル。自らの中に地球をも超える精神を見出し、燃え尽きた男でした。