いま、「やっぱりやーめた！」が求められている

2025.06.23

『ジークアクス』の最終回が近い！こういうことは終わる前に書いておこうと思うので書くのですが、結構楽しめましたね。冗長な 2 クールよりは 1 クール駆け抜けてくれたほうが見応えがあります。つまり一個前の『水星の魔女』よりは幾分マシかなという感想です。
- 宇宙世紀の IF という試みとマチュたちの存在にシナジーを感じないのはそうなんですが、足りないのは説明じゃなくてドラマでしょう。「いまこうなっています。最低限説明はしているので分かると思いますが……」という態度に出られても、それは物語じゃなくて設定の羅列だ。
- 「マチュはシュウジに惹かれています」「キラキラは時に病的なまでに人を惹き付けてしまいます」。分かりました。文句はありません。そういうものなんでしょう。しかし事実を飲み込むことは出来てもマチュたちの心情に寄りそうことはできない。二次創作や SNS で人と意見のすり合わせをする努力をしないと感情移入ができないなら、やっぱあんまり出来の良い物語とは言えませんね。
- だから旧版の『魔法陣グルグル』のように、「やっぱりやーめた！」が必要なんですよ。キラキラだの赤いガンダムだの、「本物の」ガンダムだのシャアだのアムロだの、そんなもん知らねーよ！と、大人の都合にうんざりしたマチュやニャアンたちが、何だったらシュウジの手を無理やりとって、旅に出てしまえばいい。オッサンとオバサンたちが好き勝手やってるんだから、子供たちだってやっていいだろ！飛び出していけ！宇宙の彼方！
- でも悪い事ばかりではなくて、羅列されてる「設定」はちゃんと楽しいから、良いアニメだとも思います。心の深いところには残らないと思いますけど、そんなアニメばっかりじゃ疲れちゃいますからね。
『ドラゴンボール DAIMA』。なんか色々大人の事情があってあんな不出来に仕上がってしまった感をヒシヒシと感じますが、そういう理由で詰まらなくなった物語が一番しょうもないと思いました。
- 全体的にファンサとサプライズのツギハギなんですよね。要素が点在しているだけで結ぶ線が細いからスカスカに感じる。バージョン違いの胴着を着せてみよう、子供の姿で変身したから大人の姿で同じ変身をさせよう、ベジータも超サイヤ人 3 に変身させようというのは差分程度のバリエーションを消費して時間を潰してるだけ。
- だいたい後頭部を叩くためのヘイト役を買って出た悟空が超サイヤ人 4 に変身したところで、逆に新形態の価値を棄損してるだけな気がするんだけど。なにこれ。ずっと何をしてんだ。
- ところで「もう一緒にお風呂入ってあげないからね」のくだりどうでした？みんなが良いならそれでいいです。
- 一個「褒め」を残しておくと、最終回の C パートが凄く良かったです。ああいう、些細な掛け合いこそ心に残ってくれる。
『マインクラフト / ザ・ムービー』。ぜんぜんだめ。全然ダメなんですけど、この手の「ゲームと現実が地続きになっている」タイプの物語、具体的に言うと『レディ・プレイヤー 1』あたりがなぜ口に合わないのかが分かった。最終、「現実をより良いものにするために」、ゲームから有用なものを持ち帰らなければならないという結論に辿り着いてしまうからだ。
- いや、それでいいッスよ。前向きで素晴らしい。でもゲームってもっと楽しい「だけ」だし、何だったら楽しくないのに何だかやってしまうし、娯楽の本質ってそのどうしようもない部分にあると思っているので、あんまり大仰なオチを取ってつけられると虚しくなってしまうんですよね。