『ナイトレイン』、それは日常への遅延行為

2025.07.13

『ジークアクス』
- そんな馬鹿な。「最後まで口に合わなかったけど、こういう二次創作の触媒みたいなアニメで界隈が活発化するならそれはそれで良い事ですよね！」くらいに穏当な感想を抱こうと準備していたのに、最後の最後に予想を下回ってくることがあるのか。
- 最後に本物のファーストガンダムが時空を超えてやってくる。これは理屈を超越した感動を予感させてくれましたけど、乗っているのがアムロじゃない、出来るわけもない巨大化をする（それも元ネタが『ガンダム』でもない）、そんなものを前にしてどう心を動かせというのですか。じゃあまず、それは本物のガンダムじゃないだろ。
- 従って「本物」と「作られた世界」の二項対立でもなくなってしまった。故に偽物が、それでも自分たちは自分たちなりにオリジナルなんだと叫ぶ熱量も発生しない。どう思って欲しかったんだ。
- マチュはシリーズ史上初めて人を殺さなかった主人公！とか言ってる場合じゃないんですよ。それは、一線を越えなければ自分はあの場所にいけないのではないか、と一瞬でも頭を過ぎらせたマチュが、実際に手を汚さなければならない現場に遭遇し、それでも殺さない事を最後まで選び続けてこそ与えられる賞賛でしょう。この子がぶっ放した銃弾はたまたま最後まで人に当たらなかっただけですよ。
- メチャメチャな人数が、恐らく名前も定められないまま舞台装置として死んでいったわけじゃないですか。一方で「まだ役割がある」という理由で許され、生き延びたキャラクターがいる。お咎めを受けて欲しいわけではないですが、その人権意識の希薄さを叫ぶキャラクターが一人もいないことは異常だ。
- 『フリクリ』や『トップ 2』だともう少し上手くやれていた気がする。哀しいね。
『ナイトレイン』が楽しすぎて他のことに手がつかない多くの人に送りたい言葉があります。「わかる」。
- アニメ観たり買った本読んだりしたいところを、「でもこの時間を使って夜を渡ることができるのでは……」と思ってしまって、もう駄目。だけど『スーパーマン』は観に行きたい。でもこの時間を使って夜を渡ることができるのでは……。
- 『ナイトレイン』はパラレルなので『エルデンリング』本編の考察には使えない……という意見をお見掛けして、まあいいんですけど、本音を言えば肩を揺さぶって「オイ！そんな眠てぇこと言ってる場合か！」と言ってやりたい気持ちをグッと堪えて、今日も明日も生きていく。