本館とは別に、「具体的に形にするのは時間がかかるからその前に気になる部分に言及だけしておこう」的な記事、その 2 です。『ELDEN RING』の記事ですが、『Bloodborne』の、しかも没データ部分に触れますのでネタバレ等お気を付けください。毎回やってるわけでもないですが、今回は触れます。
あと特に深い関連性があるってわけでもないですが、最近書いた下の記事の余談っちゃ余談です。
関連記事 : エルデンリングの作り方
後はそう、何度か言ってますし何度も言いますが、当サイトは基本的に没データの類は扱っていません。なぜかというと「設定が変更された結果の没」なのか「表だっての描写を取り下げられただけで設定は生きている没」なのかの区別がつきにくいからです。扱わないわけではないんですが、まあ正直めんどいので都合の良い時につまみ食いしているわけでございます。で、今回はそんなつまみ食いのお話。
ということで早速やっていきますが、『Bloodborne』の未使用データには「大いなる上位者の獣」という存在がいたようです。どういう扱いだったのかはこの場では取り上げません(よく分かんないから)。詳しく知りたい方は調べてみるのも一興でしょう。ここで重要になるのは、その大いなる上位者とやらの内部名が「銀の獣ファウナ」だったらしいこと。「銀の獣」と聞いて「おや?」と思った方もおられるでしょうが、ちょっと横に置いておきますね。今取り上げたいのはそちらではなく、ファウナという名前です。
「生物相」という概念があります。生物を包括的に現わす為に用いられるようなのですが、これは「動物相」「植物相」に分けられるようなのですね。厳密には「微生物相」も存在するようなのですがここでは置き、その「動物相」をラテン語で表記するとファウナ / faunaになるそうです。ならば「植物相」のラテン語表記は何か。フローラ / floraだそうです。ピンときた方もおられるでしょうか。
「夢の月のフローラ。小さな彼ら、そして古い意志の漂い。どうか狩人様を守り、癒してください。あの人を囚えるこの夢が優しい目覚めの先ぶれとなり…また、懐かしい思いとなりますように…」
『Bloodborne』の人形の台詞ですが、この台詞自体も微妙な立ち位置で、余りに何を指しているのか分からない為に、没データが表出してしまっているだけなのでは? なんて意見もみます(だとすればさすがに未だに残っているって事はないのでは、と個人的には思いますが)。また劇中で該当する「月」と言えばラスボスの月の魔物。つまり名前が無いはずの月の魔物(nameless moon presence)の名こそ、まさしく「フローラ」だったのではないか……などと、まあ推測としては色々思いつくところ。
「夢の月のフローラ」なる存在がいて、その対となる位置に、未登場の「銀の獣のファウナ」が、本来であれば、いた。フローラ(植物相)と肩を並べるファウナ(動物相)の名がわざわざ獣に与えられている辺り中々明確な意図を感じさせるネーミングだと思います。結局の詳細は不明ですが、ここまでが『Bloodborne』についての話。
『ELDEN RING』は少々特別な作品で、ジョージ・R・R・マーティンが世界観構築に関わる一方、フロムソフトウェアがこれまでやろうとして断念してきたことが詰め込まれた作品でもあるようです。例えばこれも未使用データの話になりますが、実は『Bloodborne』のビルゲンワースは、元々「逆さま学府」というギミックが仕込まれていたらしくエリアそのものが逆さまになり、このギミックを使用してロマの元へ行く構想になっていたようです。これは後の「カーリアの書院」に受け継がれていることがご理解できたと思います。またこれは少し趣が異なりますが、『DARK SOULS 3』の OP 画面で流れる曲は、開発段階ではラスボスの曲だったなんて話もあります。『ELDEN RING』では、まさしくその演出が使われていました(厳密には異なりますが)。まだ他にもあるのでしょう。このように最新作では、これまでの未登場案を実装しようとする向きがある。
当初の構想がどこまで『Bloodborne』内で実現しきれていたかは不明ですが、もしかすれば「植物相」を冠するフローラなる存在もまた、『ELDEN RING』において生まれ直しさせられていた可能性があります。「黄金樹」なる植物の根源である、エルデの獣として。
まだ本編が発売されてひと月半です。だから DLC の話をするのは気が早いでしょう。しかし過去作において「植物(フローラ)」と「動物(ファウナ)」が一対の存在として構想されていたと仮定して、その構想が『ELDEN RING』で再登用されると考えるなら、もしかすれば期待してもいいのかもしれません。
銀(しろがね)の獣、ファウナ。
或いは、既に登場しているのでしょうか。
「植物(フローラ)」と「動物(ファウナ)」が「生物相」を構成する一対の存在だとして、これはどうにもマリカとラダゴンの関係性を想起させるものと、思えなくもない。
- 写し身の雫
- 召喚者の姿を模倣し、戦う霊体
- ただし、その意志までは模倣できない
- 永遠の都が、王を創らんとした遺物である
- 銀雫の殻
- 銀の雫と呼ばれる、不定形生物の硬化した殻
- 銀の雫は生命を模倣する
- 模倣はやがて生誕となり いつか、王になるのだという
- 雫の幼生
- 銀の雫と呼ばれる、変態生物の核
- 生物と物質の中間にあるもの
- 満月の女王レナラの抱く、琥珀のタマゴ
- その秘めたる「産まれ直し」の素材となる
しろがね族の、恐らく原型である銀の雫は、写し身を本領とする。意志までは模倣できない不定形生物は、しかし王に至ろうとした。そしてラダゴンがレナラに送った琥珀を使った生まれ直しには、この雫の核を要する。……女王マリカと同体であり、だが本来の姿ではなかったであろうラダゴンの謎に、どうもこの辺りが噛んでいる気がしてるんですよ。
- マリカの言霊(女王の閨)
- 「おお、ラダゴンよ、黄金律の犬よ。お前はまだ、私ではない。まだ、神ではない。さあ、共に砕けようぞ! 我が半身よ!」
さ、どうでしょうか。しかしながら今の段階で、本編をプレイして分からないことを DLC に求めてしまうのは不健全だなとも思うので、来るか分からない追加コンテンツを待ちながら、ゆるりとまだまだ、狭間の地の冒険を楽しみたいと思います。皆さんも一緒に考えてみてください。