フロム・ソフトウェアという会社の最新作を遊んでみたい――。しかしお恥ずかしながら昨今のゲーム事情に疎いためにタイトルすら把握しておらず、断片的な情報から類推するしか術がない。何やら「ルーン」という言葉がキーになると耳にしたので、前回はそのまま『ルーン』というタイトルを手に取った。面白かった……面白かったのだが、盛大に勘違いしている気がしてならなかった。そんな折、こんな情報が飛び込んできたではないか。「エルデンリングに辿り着くためには大ルーンを 2 つ集める必要がある」……大ルーンを2つ……ルーン……2……。
『RUNEU(ルーン 2)』
- ジャンル : カードアクション RPG
- プラットフォーム : Nintendo GAMECUBE(ニンテンドー ゲームキューブ)
- プレイ人数 : 1 - 2 人
- 発売元 : フロム・ソフトウェア
- 発売日 : 2003 年 5 月 23 日
でもフロム最新作は「大きなルーンを2つ集めるゲーム」と聞いたから、これもやらないとな。#RUNE#フロムソフトウェア最新作 pic.twitter.com/bb7Fz7kxEr
— ACID BAKERY (@cid_bakery) August 16, 2022
アーガイル大陸には、1つの魔道具が伝えられている。その魔道具を持つ者は、異形の者はおろか、神でさえも意のままに操ることが出来るという。魔道具は<鍵>と呼ばれ、大陸を統治する唯一無二の存在、女王だけが伝え持っていた。
大陸が統一されてから200年。その間に、幾度となく争いは繰り返されたが、そのたびごとに女王は<鍵>の力で争いをおさめ、世界を平穏へと導いた。そしていつしか争いはなくなり、人々は女王を畏怖と尊敬の念をこめてあがめるようになった。女王はその地位へ幾度も新しい後継者を迎えたが、人々の尊敬の念が薄れることはなかった。
だが、長きに渡る平穏は、かつてのように、再び終わりを告げる。機械と細工品で名高い地、コルテンの職人たちが、<鍵>の開発に成功したのである。それはただの模造品にすぎなかったが、それでもいくばくかの人外の者を操ることはできた。コルテンは<鍵>の力を手に入れ、武力を用い、次々と周辺地域を侵攻していった。
領土を広げるコルテンに、やがて女王から親書が届けられる。
「これ以上争いを続けるならば、コルテンは神によって裁かれるでしょう」
これを受け、コルテンは争いをおさめたかに見えた。しかし、変わらず軍勢を整えるコルテンの姿を前に、この平穏が永遠に続くと考える者はただの一人としていなかった――。
前作『RUNE』では世界の危機に立ち向かうため、魔物を操る「鍵」なる道具を携え主人公カティアは旅立ちました。「RPG 史上最弱の主人公」とさえ銘打たれたカティアは幾多の困難を乗り越え、最後には破壊の神すらも打破し、世界を平定に導いたのでした。そんな世界統一最強女王の治世から 200 年後。受け継がれた平和は、しかしここにきて不穏さを帯び始めました。日進月歩する人の技術は、「機械」と呼ばれる力を世にもたらし、そしていつしか女王だけが持つことを許される「鍵」の量産すらも可能たらしめ……。
というね。
「ファンタジー世界に登場する機械技術」という、人の貪欲さや暗い部分を一心に背負わされがちな概念が大好きなので、非常に好みに合った導入だなと思いました。そんなわけで『RUNE2』には従来の「火 水 木 土・異」という属性に加え「機械」が登場します。ここら辺は「魂の抜けた肉体は機械と同じものではないか」という案外考えさせられるテーマ、そしてラスボスの正体にも通じて、しかも仄めかされる程度にしか明かされないので、フロムゲーをやってる! という気持ちになれます。
主人公リズ(前)と前作主人公カティア(後ろ)。よく似た二人の関係は? まさか血が繋がっているとでもいうのだろうか。カティアは女王の末裔だとでも言うのだろうか。だから女王しか使えないはずの鍵をカティアも使えるというのだろうか。そうだったのか……。
そんで素晴らしい。なんて遊びやすくなっているんだ。前作の『RUNE』においてカードは戦闘においてのみ使用するものでした。そして戦闘はエンカウント方式を採用していたわけです。ですが今作において戦闘とエリア探索は何とシームレスになりました。
前作の話をすると、例えばフィールド上に破壊したいオブジェクトがあった場合、それはモンスターの攻撃などで破壊できるわけですが、モンスター(カード)を使用できるのは戦闘時のみ。つまりオブジェクトを破壊するために戦闘に入るという工程を踏まなくてはならなかったわけです。ヘンテコだな〜と思いつつそれはそれで楽しかったんですが、やはりシームレスの利便性には勝てませんね。「カードを使って戦闘する」だけでなく、「カードを使って冒険する」ゲームになってくれました。ちなみに今作ではモンスターに変身することもでき、その能力を使用して地形を越える、なんてことも余儀なくされます。
クリーチャー(モンスター)に変身して地形を越えろ!
また前作と比較して NPC も増え、物語性も向上してるんですよ(相変わらず起承転結の「承」が薄いですが)。……なんて、なんて真っ当な進化なんだ! 真面目に楽しいゲーム作りをしやがって!
ただ戦闘および本編クリアの難度自体は前作の方が高かった気がしますね。というか『2』はラストドラゴンが強すぎ。こいつは名に偽りがなく、手に入れたらそこでゲームが終わる、と言って良いレベル。しかも普通に道中などで手に入っちまうので、人によっては物足りない出来に感じるかもしれません。裏を返せばストーリーにしか興味が無いならお手軽だとも言える。もちろん(?)クリア後の高難度ダンジョンに関して言えば一筋縄ではいかない調整になっていたりもするので、ここら辺は遊ぶ人がどこまで望むかってところですかね。
街には「営み」が息づき、更には「友好的な犬」……これは本当にフロムゲーなのだろうか。
お気に入りのクリーチャー「レラージュ」。投石機なのでひたすら石を投げる。そりゃもう投げんのよ。
こいつがラストドラゴン。(敵が本編クラスであれば)コレを出すと戦いが終わる。『DARK SOULS』でいうところの「闇の飛沫」くらいの強力さだ!
ではいつものやついっときましょう。フロムの旧作から「アレってココから引っ張ってきてたのか!」を探すコーナー。目についたもの全てを記録しているわけではないです。ただ似てるってだけのものも織り交ぜてあるから気を付けて楽しんでくれよな!
『RUNE 2』 / 『DARK SOULS 2』
『RUNE 2』の方は別にミミックではない。
『RUNE 2』 / 『ETERNAL RING』 / 『Demon's Souls』 / 『DARK SOULS 2』
竜をよく扱うメーカーなので、当然その化石を扱うことにもなるのかもしれない。
『RUNE 2』 / 『SPRIGGAN LUNAR VERSE』 / 『ETERNAL RING』 / 『DARK SOULS』
キメラ、或いはマンティコアや聖獣と呼ばれる混種。もうスケルトンに次ぐレギュラーだと思う。
デススタチュー / アステール(ELDEN RING)
フロムのアラレちゃんたち
知り得たか。
#EVERGRACE #RUNE2
— ACID BAKERY (@cid_bakery) July 14, 2024
ちなみにこのアルトリウス……みたいな動きをするドラワイドは『RUNE2』でも再登場しているので、フロム的にもお気に入りだったのかもしれない。 pic.twitter.com/08cNz4yDYW
今やっても普通に遊べる良ゲー、良シリーズ。しかしどれだけ潜在能力を秘めていようが、今のフロムに脂が乗りまくっていようが、さすがにリメイクや移植、ましてや続編はなさそうだなーと言ったところ。正直 Switch に『1・2』セットで移植されていても違和感は無さそうですけどね。少なくとも現体制が過去作のリメイクをしない方針というのはまあ分かるんですが、別の誰かが手を挙げないもんなのかなーというのは業界を知らないから言えるんでしょうな。
ということで、『RUNEU コルテンの鍵の秘密』でした。遊んでみてくれ!