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影の地を踏み荒らしました。 - 『ELDEN RING(エルデンリング) SHADOW OF THE ERDTREE』レビュー -

はじめに

おはようございます。

『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE』クリアしました。いまは複数のキャラを泳がせてフラグの違いや、 DLC の情報を踏まえての本編を遊んだりしてます。 楽しいですね〜、泣けてくるぜ。

というわけで以下雑感をつらつらやっていきます。あんまり細部まで書くつもりもないですが、ネタバレに対する配慮はできないと思うので、未プレイ、未クリアの皆様方におきましては読まない方が宜しいかと存じます。

プレイ雑感

影の地においてフィールドとレガシーの境界は曖昧となる

DLC エリア「影の地」。遊んだ実感としてまず感じたのは、マップの高低差、入り組み方が本編よりもずっと複雑に作られていること。

本編でも高所と平地の位置関係などに混乱することはありましたが、影の地ではそれを意図して複雑化させている印象でした。

『エルデンリング』宮崎Dいわく、DLC新マップではオープンフィールドと大規模ダンジョンを「融合」させている。広くてバリエーション豊かで立体的な“良いとこどり”マップに

> 影の地は、オープンフィールドとレガシーダンジョンが融合したようなマップになっているという。

はいはい、なるほどッスね。

地図を眺めただけでは平地の下の構造がよくわからず、どこがどこに繋がっているのかと首をひねりながら探索するのは正直言ってめちゃめちゃ面白かった。崖下に見えている場所に繋がる道がどうしても見つけられず、狂ったように壁を松明で照らし、或いは叩き続け、「……これまさか城から繋がってる?」という予想が的中した時の歓びは筆舌に尽くしがたい。

影の地という、フィールドでありながらもそれ自体が巨大なレガシーダンジョンとも言える構造体は、迂回路や自身の思い込み、死角を絶えず疑い続ける、そんな快感に満ちていたように思います。しかしながら、これを本編の広大さと長尺のフィールドで出されてしまうと「めんどくささ」が勝つ類の一品だろうとも思いますね。

遠方に見えている場所、行きたいエリアに「駆け抜ければたどり着く」快感が狭間の地にはありました(まあ言うほど単純な作りでもありませんでしたけど)が、それを存分に享受するには影の地は入り組みすぎている。

DLC という限られた範囲でのみ成立する、絶妙な塩梅であったというのが、立体構造物としての影の地に対する感想です。長所短所は表裏一体。

難易度

DLC 用に信魔キャラを育てていたのですが、結局初見プレイ時に作った上質キャラで攻略を始めてしまいました。DLC 初見は余り手こずることなくクリアまで持っていきたかったのもあり、周回を重ねてしまっている上質キャラでの初見プレイは止めておこうとも思ったのですが、「初見のエリアを最初のキャラで遊ぶ」ロールプレイ的な魅力に抗えず、そして何よりゴリゴリと近接がしたかったから! ソウルシリーズの初見はずっと! 上質でやってきたから! 『ELDEN RING』では上質って「そこまで」だけど! でもやっぱりこいつ(上質)と一緒に、ずっとやってきたから!

とはいえ本編で優秀だった凍結や出血は変わらず優秀であり、上質といいつつ割合ダメージを愛してやまない身としては、四週目の世界とはいえ、苦戦は重ねても絶望的な局面には出会いませんでした。

ラスボス以外は。

言い訳というかキャラ紹介の話になるんですが、ソウルズボーン系を通して初見キャラとなるウチの「上質くん」は「盾を使わない」んですよね。盾なしローシャンですら盾を使っていたのに。……キツかった……。縛りと言うか拘りというか「そういうキャラだから」としか言いようがなく、単純に動かしている人間の技量の問題でしかないんですが、「こいつ大盾で正面から殴り合った方が倒しやすそうだな〜」と思いながら死を積み重ねてました。

あと分かる人には分かる感覚だと思うんですが、ラスボスに関しては絶対に腐敗で倒してやりたい気持ちがあったので、「蟻棘のレイピア」を出血派生させてひたすら殴り続けました。腐敗が通らなければ他の選択肢もあったと思いますが、通っちゃうからさ。

ラスボスと初見プレイ時のマレニアとどっちが強く思えたかというと、苦戦の度合い的には互角くらい。半ば縛った形で戦ったし、重ねた周回と経験値も違うので正確な比較にはなりませんが、同じくらい強かったと思います。これはある意味、絶妙な調整だったと言えるでしょう。最も強いデミゴッドたちは、やはり同じくらいに強かった。

「約束の王」が完全に彼本人なのかというと議論の余地があるでしょうが、そりゃ外なる神の干渉を激烈に受けていたマレニアとて同じでしょう。神なるものの支配下にあり、それでも器として選ばれたのは、やはり彼らが特別であったからだと考えます。実際に刃を交えたあの姿こそが、彼らの最強の姿だった、そう考えるからこそ戦う価値がある。

キャラクター

誰もかれも一癖二癖当たり前に備えていて良いキャラ揃いだ。そして最終的に残らず消えて失せるのも、いい。

赤獅子フレイヤの分かりやすさが良い。名誉ある死? いやいや生きて戦い続けた方が絶対楽しいに決まってるっしょ。

極めつけとして、ついにお目見えした聖女トリーナが、なんかもう凄かったですね。彼女のもとに向かう道中からそのイベントの全てに蔓延する「雰囲気」が余りにも独特だし、その造形自体が雰囲気に負けてない。凄いデザインだと思う。

気になったところ
好きなボスキャラ発表ラダゴン

「影樹の化身」

「二回戦の壁」を超えて蘇るので最初はギミックボスかと思ってました。まだメスメルを倒していない段階で出会ったので、「これから影樹を燃やすイベントがあるっぽいから、そうしてからでないと倒せないのかな」と考えたものの、倒すたびに攻撃パターンが変化するのと、一段階倒した際に致命が入れられ、そのダメージが次段階に引き継がれることに気づき、「いける」と分かってからは楽しかった。弱点部位が狙いやすく、狙ってしまえば柔らかい、この手のボスは気持ちが良いので好き。

全体的なモーションから『Bloodborne』のエーブリエタースみを感じ取りましたが、なんかあるんでしょうか。黄金樹の化身はまんまはぐれデーモンでしたけども。

ストーリー雑感

『ELDEN RING』は女王マリカの物語。しかし憎いことに、本作では女王マリカ「そのもの」が描かれることはめったになく、「マリカから生まれたものたち」の選択や末路から母たるマリカの足跡をなぞり、その輪郭を浮かび上がらせるという手法を取っています。

DLC において主軸となるのはマリカの子ミケラであり、彼が神になろうとする道程から、かつて同じく神に至ったというマリカの過去を類推する。この流れは DLC 発売前から予想がついてましたし、予想以上に多くの情報を貰えてヴォルテージも上がり調子なのですが、期待していた最大のキーはお預けを食らいました。

ラダゴン、てめーのことだ。

DLC を遊ぶだけなら、マリカの出自と、その出自から想像できる背景と、後に行われる角人たちの虐殺の理由を何となく察することもできる。できるんですが、肝心の「いつから、ラダゴンとはマリカだったのか」が分からないと、どこからどこまでがマリカの意志で行われたのかがボヤけるんです。しかもメスメルが赤髪な辺り、たぶん父親はラダゴンでしょう。たぶんね。そのくせメスメルは父のことには触れようともしない。みんながマリカだと思っていた人物は、どこまでマリカだったのか。そんな疑いを持っていたのですが、まさか宙ぶらりんにされるとはね……せめてこちらの考察に、違うなら違うとはっきりトドメを刺して欲しかった。

まあ、とはいえ、ここからです。まだアイテムテキスト全部読んでもいないですし、見てないイベントやロケーションもあるでしょう。色々考えながらプレイはしてましたが、見落としていることなんて山ほどあるはず。それらを網羅して何か分かると思うほど甘い夢は見ちゃいませんが、フロムゲーの読み解きってそういうもの。やることが沢山あって幸せじゃないですか。

好きなテキスト発表ラダゴン

「狂い火の王の追憶」

黄金の逆棘のもたらす、永遠の苦痛の中で

ミドラーは、ナナヤの言葉に縋っていた

耐えてください

それは、呪いの言葉であった

「耐えてください」。めちゃめちゃ良い。この突き放し、この無情。それでもその一言に縋るしかなかった男の苦悩。

良過ぎる。本編含めても一番好きなテキストかもしれない。

自筆の走り書き

以下は攻略中に書いていたメモの一部。読まなくていいです。

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